奈良ひとまち大学

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ひとまちブログ

伝えるってむずかしい

2013.12.22 | 授業 | by Staff

12月22日は、1年で最も昼間が短い日「冬至」でしたね。
北風ピープー吹いているさなか、「一服のお茶がもたらすハピネス ~奈良のおいしい茶葉のこと~」の授業スタッフとして、今回の教室「はなや北川」へ馳せ参じました。

伝えるってむずかしい_1

今回はカメラ担当ってわけで、責任重大なのです。
なぜだって?う~ん、なんでだろう・・・。
普段、授業での割り当ては大概ツイッターな私。
授業の熱気や「これおもしろいっ!」をリアルタイムで発信するツイッターは、文章ときどき画像なんで自分のイメージで構成できるから、イキオイとノリでなんとかなってる感があるのだけど、写真になるとそうはいかないんだな、これが。
写真って、その場面・空間・瞬間を切り取る作業だと思うのですが、これがとっても難しい。
だって、「きらめきの一瞬」なんて、「あっ」っと言う間に終わっちゃうじゃないですか~。
「いい画が撮れた!」と思っても、実際見てみたら「あれっ!?」だったりするし、ほんと、腕がモノをいう世界だと思います。
毎回、授業の前に記録用・広報用として写真撮影の許可をいただいておりますが、特に広報用の写真を撮るのってほんと難しい。
学生のみなさんから寄せられた「ひとまちレポート」やスタッフが綴る「ひとまちブログ」の内容に「ビンゴ!!」な写真があると、魅力倍増、広報効果絶大なんだけどな・・・。
今回、私は授業の魅力が伝わる「いい写真」を撮るべく、一眼レフとデジカメの2段構えで張り切って「カチャカチャ」と撮りまくってみたのであります。

伝えるってむずかしい_4

とりあえず、腕がないなら数で勝負だ!のごとくに撮り始めてみたのですが・・・、一眼レフっていろんなモードに設定できるんですね。

伝えるってむずかしい_6

そのあたりの使い方、おさらいするの忘れてた・・・(汗)と焦りつつも、パシャパシャやってみました。
同じ構図にならないよう、あっち行ったりこっち行ったりと、遠慮しつつも近くに寄って、がっつりと。
学生のみなさんの邪魔にならないように・・・と心がけてはいたものの、大丈夫だったかな?気が散ったかな?けしからんかな?と内心びくついてましたが、授業終了後、そのようなお声はなかったので、ほっ。

それでは、じゃ~ん☆(写真にも注目!?)
授業の内容は「ひとまちレポート」をご覧ください。
「奈良のお茶を飲む」
http://nhmu.jp/report/16933

いかがでしたか?
授業が終わって、パソコンで全ての写真データ確認したときの私の第一声は、「えっ、なんで?」。
正直、もっとうまく撮れてたら嬉しかったんだけどなっ。
実際にお茶を入れて飲み比べたり、水出し茶歌舞伎したりしたときの様子、肉薄したはずやったのに。

伝えるってむずかしい_8

お茶の種類によって、お湯の温度変えたり時間変えたりして、美味しいお茶の味を嗅覚と味覚で堪能した後、水出ししたお茶の味を当てるっていう内容だったんだけど、そのときの緊張や高揚感が・・・伝わってる?伝わってない??

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デジカメで撮った写真は柔らかい印象だけど、動きに弱い(後半の茶歌舞伎のときブレっブレやった・・・)。

伝えるってむずかしい_3

一眼レフは、場合によっては無機質な感じだけど、焦点が合えば動きにも対応可能。
結論として、扱いが複雑でコンパクトさには欠けるが、一眼レフの方がいい写真が撮れる可能性が高いということを実感しました。

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次回、私が撮影担当のときは、必ずや一眼レフを首から提げて、あっちこっち動き回っていることでしょうが、これも奈良ひとまち大学の魅力を広めるために重要な使命なんで!!!大目に見てやってくださいね。

(なさ)

赤膚焼、土・炎・心、伝統を受け継いで

2013.12.22 | 授業 | by Staff

授業の様子は、「ひとまちレポート」も併せてご覧ください♪
「赤膚焼がより魅力的に見えるようになりました」
http://nhmu.jp/report/16907

4年前に先代のお父様が他界された後、8代目を襲名した古瀬堯三さん。
窯を駆使して、先代たちから受け継いだ伝統技術と精神を土台に、オーストラリアでの美術・陶芸の留学経験を生かして赤膚焼に取り組まれています。

赤膚焼、土・炎・心、伝統を受け継いで_1

12月22日の授業「赤膚焼、レボリューション! ~伝統工芸を受け継ぐ女性作家~」での堯三さんのお話で印象に残ったこと。
現代では陶磁器を焼成するときに、窯に温度計を設置する陶工が多いなか、堯三さんは2昼夜半の間、1300℃の炎の色を見て判断し「挿し木」をされるそうです。
先代から「目で見て体で覚えろ」「窯の機嫌を伺いながら窯の目を見ろ」と叩き込まれ、温度計を入れると怒られたそうです。
「上の口を閉めろ!下の口を閉めろ!(口=空気穴)」と言う先代の厳しい声を聞きながら見極め方を習得され、その手法を忠実に守られておられます。
先代と親交が深かった薬師寺住職の故 高田好胤さんは、その窯の目をのぞいて「灼熱の透明の世界」と表現し、「光に吸い込まれるみたいだ」と語ったといいます。
陶工と炎との真剣勝負を感じました。

赤膚焼、土・炎・心、伝統を受け継いで_4

また、焼き物に使われる粘土の扱い方を伺った際には、「土も生きていますから」「土に食べさせてもらっている」「心が揺らぐと土が反応してくる」「眠っていた粘土を作品にして世に出す」など、土をまるで生き物のように自然に話されていて、赤膚焼の窯元で代々受け継がれてきたのは、単なる技術ではなく、製陶への姿勢であったり、土・素材に向き合う感性なのではと思いました。

赤膚焼、土・炎・心、伝統を受け継いで_2

先代が亡くなられて後を継ぐにあたって、旧来から「女の人は窯を焚いてはいけない」と言われていたけれど「そんなことは言ってられない」と、自らを奮い立たせて後継したそうです。
しかし、そんな気丈な8代目ですが、唐招提寺の庭にある先代作の蓮鉢を見ると「父に会いに行くみたいで、うっとなる」と目を細めてらっしゃいました。
作品の出来に生活が懸かっている以上、いったん窯に火が入ると、そこからはプレッシャーと安堵の繰り返しでほとんど眠れないと言います。
焼き上がりを見たら、ようやく熟睡できるそうです。
今では、平常心で坦々と同じ調子で同じモノを作ることの難しさを改めて感じているそうです。

赤膚焼、土・炎・心、伝統を受け継いで_3

赤膚焼で定番と言えば「菊長の皿」等ですが、最近では、生活様式の変化にあわせて、コーヒーカップ・マグカップなども制作されているとのことでした。
また留学先のオーストラリアでは、コバルトブルーの器を多様に用いて日本庭園を表現するなど、器の肌模様を決める釉薬についても、家にあるものでどんな色が出るか、表情が定まらないものを日々探究・冒険してきたそうです。
形状も、陶器でいかに柔らかい感じを出そうかと愛犬をモチーフに制作されるなど、斬新な試みに挑戦されています。

赤膚焼、土・炎・心、伝統を受け継いで_7

そんな創作意欲に溢れた8代目古瀬堯三さんですが、今後も歴史ある素朴な奈良の風土で、古くからつながりのある寺院などに作品を納めていくとともに、地元に愛される窯にしていきたいと抱負を語られていました。

赤膚焼、土・炎・心、伝統を受け継いで_8

その後、今回の授業をきっかけに赤膚焼の菊長の皿を使ってみました。
素朴な菊模様のお皿なのに、お刺身や一品料理を乗せると食卓が引き立ちます。
堯三さんが「陶器は懐石と同じ、何かと合わせて使って完璧になる」とおっしゃっていた意味がわかった気がしました。

(やまたろ)

自転車と 富雄の街は 咲く華の にほふがごとく 今盛りなり

2013.12.22 | 授業 | by Staff

広報課の“よったか”です。
今日は12月22日(日)。
クリスマスのイルミネーションに彩られる富雄は
忙しそうに人々が往来します。

授業は「自転車で愉しむ、奈良ライフ ~富雄の長屋の自転車店~」。
師走の低い太陽の光が、大正時代に建てられた
レトロな店内の天窓から降り注ぎます。
今回の教室は近鉄富雄駅から徒歩3分。
コンビニの裏路地にひっそりとたたずむ自転車店です。

自転車と 富雄の街は 咲く華の にほふがごとく 今盛りなり_1

先生は、自転車店TRANSITオーナーの向井健太さん。
富雄が好きで、富雄に住み、ここで仕事がしたかったという先生。
自転車店をオープンするきっかけなどはなんだったのでしょうか。
学生は12人ですが、小さな店内のため会場準備が必要です。

8:30より、先生と一緒に自転車の引っ越し作業をします。
店内にある自転車はお客さんからの預かりもの、売りもの、
向井さん自身のものなど
カラフルなカッコいいものばかりです。

自転車と 富雄の街は 咲く華の にほふがごとく 今盛りなり_2

事前に用意していただいたスライドショーを見るスペースを確保するため
さらに展示物の大移動が始まります。

そこで、「朝ご飯まだなんです。」と先生。
急いで、お気に入りのタイカレーを口にした先生は
店内に漂うアジアンな香りを少し気にしておられるようです(笑)。

スタッフ“Mochi”と“もりぞー”と合流したあと
路地への入り口にのぼりを持って立ちます。

自転車と 富雄の街は 咲く華の にほふがごとく 今盛りなり_3

富雄は奈良市内でもっとも人口が増えているところです。
古くからの住民と新しく引っ越してきた新住民とが混在した街です。
日曜の朝から駅周辺はにぎやかな様子です。

TRANSITのデザインされた看板と
ひとまちの“のぼり”を見つけた学生さんたちは店内に入り、
肩を寄せ合って座ります。

自転車と 富雄の街は 咲く華の にほふがごとく 今盛りなり_4

少し緊張した様子の先生のお話が始まりました。
ここからの授業の内容は、授業レポートも併せてご覧ください★
「富雄愛を感じる自転車屋さん」
http://nhmu.jp/report/17400

大阪出身の先生が、学生時代をこの富雄で過ごしたという話。
学生時代は自転車部ではなく園芸部にいたという話。
人と人が近いこの街が好きになったという話。
飾らない言葉にこそ、リアルな思いがあります。
時計を気にしながら15分程度で概要を話しきった先生は、
もうほとんど話し切っちゃいました・・・と照れ笑い。

自転車と 富雄の街は 咲く華の にほふがごとく 今盛りなり_5

実直だが、親しみやすい性格の先生が話されるこれまでの話に
すっかり引き込まれていく学生さんたち。

それではいよいよスライドショーです。
まずは、このお店が元々自転車置き場だった時の写真。
続いて、リノベーションされていく様子が映し出されます。
お隣の美容室と同じ業者に担当してもらったという
店内のイメージは昭和です。昭和の雰囲気が好きだという向井さんは
できあがっていく様子に満足な様子です。

自転車と 富雄の街は 咲く華の にほふがごとく 今盛りなり_6

お店はオープンしてまだ3年ですが、着実にこの街で
つながりを強めているTRANSIT。
学生さんのなかには普段のお客さんもおられ、
いつもの自転車屋さんが奈良ひとまち大学の教室になるとの広報を見て、
嬉しくてすぐに申し込まれたとか。

大学を卒業されて、勤めた会社が大手の自転車屋さんだったとのこと、
近畿圏を転勤するなか、学生時代を過ごした奈良 富雄の街が忘れられず、
奈良の店舗への転勤願いをいつも出していたと言います。
富雄の魅力は人と人との距離感。いつも誰かが街を歩き、
人同士がどこかでつながっている街。

自転車と 富雄の街は 咲く華の にほふがごとく 今盛りなり_7

まずは住まいを富雄に移した先生は
街の声を聞き、「街の自転車屋さんが閉店して不便だ」という話から
この街で独立することを決めたそう。

人のつながりがひとつでも欠けていたら、
ここで話をしていることもなかったという、
本当に偶然がつながって今があることを実感します。

このブログを書いている私“よったか”も、実は富雄の住民です。
奈良といえば、観光地とベッドタウンの街。どちらかというと西部は
後者の傾向が強く、皆さんが地元に目を向けることが
普段あまりない傾向があったように思います。
でも、富雄は若い人が多い街。
最近は「トミオの日」や「トミオフェス」など、この富雄を盛り上げようと
する動きが活発になってきています。
行政がやる観光ではなく、自発的なこの動きに注目していきたいです。

自転車と 富雄の街は 咲く華の にほふがごとく 今盛りなり_8

今回の授業は、広報課にとっても特別なもの。
企画や交渉を広報課として初めて提案しました。
7月から温めること5ヶ月。無事成功できたことはなにより嬉しいことです。

先生への質問タイムでは、向井さんが企画している「おいしいポタリング」に
話題が集まります。
「ポタリング」とは行き先を決めずに散歩するように自転車に乗ること。
「おいしい」とは一緒に企画している仲間がカフェでおいしいランチを作って
待っているとのこと。
ビジネスだけでない人とのつながりをなにより大切にする向井さん。
近い将来、仲間がつながり合って、大きなうねりになる予感がしました。

自転車と 富雄の街は 咲く華の にほふがごとく 今盛りなり_9

奈良ひとまち大学で過去最西端で開催されたこの授業。
笑顔で帰って行く学生さんを見送り、来週実施される、おいしいポタリングに
参加する約束をして先生にお礼をする、“よったか”でした。

(よったか)