おもてなし介護サービス

●レポーター:奈良市在住 umeko さん

「あれ?こんな場所にこんな施設あったかな?」と、受講する前にふと思った。
コーナン三条大路店へ行く途中の細い裏道沿いに、それはあった。
「まなび処 結」。この教室でどんな話が聴けるのか・・・。

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まずは自己紹介から。
先生は、ヒューマンヘリテージ株式会社 代表取締役 山本善徳さん。
介護タクシーを利用した旅行・観光サポート事業を営んでおられる他、今回の教室である高齢者向けカルチャーセンター「まなび処 結」の運営もされている。

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次に事業内容の説明があった。
まず初めに手掛けられたのは、介護タクシーを使っての旅行サービス業。
この旅行は、介護する家族の方ではなく、ケアを必要とされる方を中心に考えられたものである。
どのような旅にしたいか、何を大切にしたいかを事前に聞き、それに応じたプランを設計してくれる。
あるケースでは、介護施設に入所中の妻との思い出の地を訪れたいとのご主人からの依頼で、他の家族の反対を押し切り白浜温泉への旅へ。そこで撮影された二人の笑顔が本当に素敵であり、この旅が満足だったということを物語っていた。
また他には、孫の結婚式への参列にこのサービスを使用された例や、ホスピスに入院中の父親へ贈る、息子家族からの最期の旅のプレゼントの話もあった。
介護を受ける側からすると、旅行は行きたいが家族に迷惑がかかるから、何かトラブルがあるのではないかと、自信をなくされる方が多いようだ。
しかし、限られたなかから行くことができる場所を見つけるのではなく、自分の行きたい場所へ連れていってくれるこのサービスは、まだまだ将来の生きがいを見つけることができる良いきっかけになってくれるだろう。

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続いて、「まなび処 結」の紹介。
簡単に言うと、ここは文化サロンのような場所。
ただし、65歳以上の高齢者、もしくは要支援・要介護の方に限られている。
この事業は「平成23年度公募提案型奈良まほろばふるさと雇用再生特別対策事業」として採用され、介護保険制度を使わない新しい試みとして立ち上げられた。
高齢者の居場所づくり・仲間づくり・生きがいづくりをサポートし、いつくになっても地域で生き生きと暮らしていくことのできる社会をめざされている。
月曜日から土曜日までユニークな講座が開かれており、その内のいくつかをここで紹介したい。

○スポーツ吹矢
腹式呼吸法を積極的に用いる健康法と日本古来の吹き矢を融合させ、スポーツ性をもたせた競技。全身で呼吸を整えながら、的をめがけて一気に矢を放つ。1セット5本×6セット、計30本を吹くとなると、結構体力もつかうという。(先生による実演もあり)

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○健康マージャン
「吸わない」「飲まない」「かけない」をモットーに、初心者からベテランまで楽しめる講座。脳のトレーニングにもなり、対戦相手とのコミュニケーションも図ることができる。

○その他、コーラス・ペーパークラフト・書道等。

そして山本さんは、今後の活動でやってみたいと考えていることを話してくれた。
これがユニークな発想で、ぜひ実現させてもらいたい。
それは、スナック形式の介護デイサービスセンターをつくりたいというのだ。
店名はもう決まっている。「スナック・パリ」。
営業時間は15:00~20:00(デイと呼ぶには遅い時間かもしれないが・・・)。
ジャズが流れる、少し高級感の漂う内装。
そこへ、お洒落をしたオジサマたちが通ってこられるというプラン内容。
オールバリアフリーにするのではなく少し階段を設け、頑張って登りきったその先には、楽しい時間が待っている・・・。
これは、男性の心理をうまく得ているのではないだろうか。
それと、現在の介護施設は安心・安全を考えすぎるため、無理をしたリハビリは行っていないらしい。逆にそれが、自分でできることでも人に任せっきりになり、頑張る気を萎えさすのではないだろうか。
私の父も介護を要するので、入所していた時のやりとりには思い当たることがあった。それゆえこの話を聞いた時、店が実現した暁には父も必死でこの階段を上がるであろう姿を想像してしまった。

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他にも、現在、地域活動として奈良のホテルに宿泊される障がいをもった方へのケアスタッフスポット派遣や、バリアフリー改修をすすめるセミナーも開かれており、将来は高齢者・障がいのある方への専門サービスがたっぷり付いたホテルをつくりたいそうだ。

今回いろいろな話を伺うことができ、介護についての新しい可能性を見出すことができた。
魅力を感じたのは、「自分だったらこういう介護を受けたい」「こうやれば楽しく生活が送れるのではないか」「人それぞれの介護プランがあっていいのではないか」と、介護を受ける側の人に立った考えに基づいての活動だったからだ。「おもてなし」の精神である。
この「おもてなし」を考えることができる介護サービスがこれから増えることで、超高齢社会の不安のなかにも明るい光がみえるのではないか。
そう信じたい。

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