詳細
●レポーター:奈良市在住 なっつさん
「奈良にからくりおもちゃ館なんてあったん?知らんかったわ~!」と、いうところから興味を持ち今回の授業への参加を希望しました。
まずは迷わずたどり着けるかからですよねぇ・・・と、ならまちの細い道をテクテクと歩いて行くと、木の可愛らしい看板を発見!
引き戸を開けて中に入って、レトロな内装に更に感動!
日本の昔ながらの家屋って、なんとも素敵だなぁと思います。
さてさて授業が開始して、まずは館長さんのお話をお聞きしました。
からくりおもちゃって設計図があまりないのだそうです。
なので、いろんな資料に少しずつ載っている絵や文を紐解いて再現をされているそうです。
図面をひいても、天然の素材を使用しているためその図面通りにはなかなかできないということで、作られていないのだとか。
そして、その素材選びがとっても大切なようです。
ひとえに木材と言っても、檜もあれば欅・杉といろいろあり、それぞれ材質も異なります。
江戸時代の人はその素材を知り尽くした上で材料を選び、からくりを作っていたとのこと。
(からくりおもちゃを再現される時は、この素材にもこだわって忠実に再現されるそうで、今となっては高級な素材が使われている場合もあり、大変高級なからくりおもちゃになる時もあるのだとか・・・)
からくりおもちゃとは、今よりも自然と寄り添って生活していた時代ならではのものなんだなと感心しました。
そして、いよいよ「御来迎」作り開始です。
工作をするという機会がここ最近ではすっかりなくなっていたため、ワクワクしながらまずは厚紙を折り、ボンドで接着して本体の筒を作成!
次の工程が、一番大変と噂の後光の部分の和紙折りです。
同じ幅に和紙を折るのがあれほど大変だとは思いませんでした・・・難しかったです・・・
この後光の部分は和紙でなければ役目を果たせないとのことで、筒から出したりしまったりということができるのは和紙ならではの強度としなやかさがあるからだということでした。
現代のコピー用紙などで作ると、出したは良いがしまえないということになってしまうようです。
“あっぱれ和紙”って感じですね!
次に、丸棒に穴の空いた木材を通すことにまた苦戦・・・微調整に微調整を重ねて木材と格闘!しました。
先生方、ご助力ありがとうございました。
和紙で後光と丸棒を接着し、持ち手の部分に竹筒をはめ込んで、後は真ん中の木の絵付けを残すのみです。
ア・・・アイデア力が大事ということですが・・・私の発想力の泉には何も浮かばず(子どもさんたちは驚くような発想をされるそうですなんですが・・・)からくりおもちゃの可愛らしい猫ちゃんを見て猫を描き、満足して完成!となりました。
それから、最後にからくりおもちゃの紹介をしてくださいました。
追う猫とチュッ!と鳴きながら隠れるネズミのからくりおもちゃがとっても可愛らしかったです。
私のなかでは密かに今回一押しのからくりおもちゃです。
江戸時代の日常の光景がからくりのデザインに反映していることにユーモアを感じ、細部への手間を惜しまない作り込みに職人魂を感じました。
“おもちゃ”と聞くと現代では子どものものというイメージですが、からくりおもちゃは子どもから大人まで楽しめるようたくさんの種類があるとのことで、見るだけで仕掛けがわかるものから中を見ないと仕掛けがわからないものまで、複雑さのレベルも様々でした。
複雑な仕掛けのからくりほど、中の構造が見えないように覆い隠してあるデザインのものが多く、これは中の構造を少し触っただけで動かなくなったりするからくりを守るためのデザインなのだとか。
(現代のパソコンみたいなイメージですよ~と館長さんがおっしゃってました。中身は専門家以外触っちゃダメよという感じなのでしょうね、きっと。)
からくりは江戸時代の鎖国のなか発達した日本独自の文化で、その技術は現代の物作りの中に生きているということもおっしゃっていました。
江戸時代の人々は他国の文化も自国の文化も織り交ぜて自分たちの娯楽や生活に取り入れていたんだなと、驚くことが沢山あった授業内容でした。
また、からくりおもちゃたちに会いにお邪魔したいなと思います。
ありがとうございました。