奈良ひとまち大学

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奈良のいろんな味わい方

●レポーター:奈良市在勤 ならじゅん さん

元バスガイドの私にとって、バスの入れない細い道をスイスイと駆け抜ける人力車での観光は、興味と憧れがいっぱいでした。そして、新たな奈良観光を模索中の私にピッタリの企画に出会ったのです。

お日様も沈みかけ、家路を急ぐ人々が行き交う猿沢池のほとり、「受付はこちらで~す」と、スタッフの方々の明るい声。
五十二段前に集合したのは、おひとりでの参加も多く、2人~3人のグループなどの老若男女のみなさん。

同じ目的意識をもった方が集まると、初めて顔を合わす人ばかりでもなぜか違和感なく、良い雰囲気。

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あたりが夕闇に包まれかけた頃、参加者から聞こえてきたのは、ひとまちレポート 奈良のいろんな味わい方_2
「この時間に奈良公園にいるのは初めて~」の声。
先生がこの時間帯をセレクトした理由が、だんだん見えてきた!
テーマの「再発見」がまずこれなのだ、と期待が高まってきた。

今回の先生は、えびす屋奈良店 人力車 俥夫(引き手)谷内 秀康さん

挨拶が終わると、特別に3台の人力車を順に使って猿沢池を一周(乗車体験)させていただき、予想外のことにみなさん大喜びでした。
乗り降りの介助やひざ掛け、シートベルト、写真撮影などの一連の動作にプロのエスコートを感じることができ、紳士的な俥夫(引き手)さんに好印象。

意外と高い目線では、いつもの見慣れた風景が新鮮に感じるから不思議。
振動が意外と少なく、乗り心地はファーストクラス。街並みに溶け込むような一体感。
風を感じ、音を聴き、時に匂い!香りを感じながら・・・なんて贅沢な時間でしょう。
ここで一気に地元民目線から観光客目線に変わってテンションアップ!
これこそ人力車の魅力なのだろうと思いました。

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そして、人力車の引き手さんが商売道具の人力車を置いて、私たちを引き連れて歩いて案内してくれるという不思議な光景で散策開始!

四季亭・江戸三の南側から高畑にぬける道は、夕暮れ時から特にロマンチックな雰囲気の小路が続き、目の前に現れた景色が・・・。
暗闇の荒池とライトアップされた浮見堂、そして東の山並みのみかさ山、春日山から月が昇る光景。

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「あまのはら ふりさけ見れば 春日なる みかさの山に いでし月かも」

誰もが自然に口をついて出てきた。
しばし呆然にちかい感動に襲われ、「こんな身近にある素晴らしい景色を知らずに生活していたなんて・・・」と、軽いショックを受けてしまいました。

また、暗がりに気配を感じ目を凝らすと・・・
鹿苑に戻らない鹿たちが現れ、昼とは違う野生の目つきを感じました。
そして、遠くのどこで鳴いているのか、オス鹿のこの時期独特の鳴き声が山々に響き渡っていました。

「奥山に もみじ踏み分け鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋はかなしき」

谷内さんの案内は詳しく、軽いジョークを交えたり、映画・ドラマのロケ裏話が飛び出したり・・・
お客様の笑顔を大切に接客を心がけているのがよく伝わってきました。

そして印象的だったのが、谷内さんがよく口にされた「私が想うところ、感じるのが・・・」という言葉。奈良は歴史が古く記録が残ってない事もしばしば。 
推測や個人の想いでなぜ?どうして?が描けるのが魅力です。

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奈良が通ってきた歴史の経験からできた文化や考え方が、街のあちこちに散りばめられていて、まるで宝探しのように見つけて想いを馳せてみれば、観光ガイドブックに載っていない、自分だけの奈良の魅力を発見できるのではないかと、奈良の味わい方を教えてくれているようで、私にとって今回の授業は「自分なりの奈良の魅力 再発見!」のスタートとなった一日でした。


▼ならじゅんさんのブログ
「narajunの奈良 遊・食 日記」
http://d.hatena.ne.jp/narajun/

<「奈良ひとまち大学」奈良の魅力再発見 しちゃいました!>
http://d.hatena.ne.jp/narajun/20100928/1285628147