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●レポーター:田尻町在住 ピーナッツさん
薬師寺門前AMRITにて、船津康史さんがこの土地でお店を出すことになった経緯、奈良の秘める可能性についてお話を伺いました。
金融業界での経験、その後、外資系証券会社に転職して培われた海外から日本を見る視点、日本の伝統工芸品に目を向け、2年間、日本各地の工芸家を訪ねる旅に出られたこと、船津さんが今の会社を作るきっかけになった経緯を、ユーモアを交えて話していただきました。
船津さんは生まれも育ちも東京。
奈良に来るきっかけは、薬師寺の住職からオファーがあったためとのことで、学生時代の修学旅行くらいの思い出しかなかったというので、どんなことが起点になるかわからないなと思いました。
私は今30代で、仕事を通じて今後どう社会と関わっていくか模索していたところなので、船津さんのこれまでの人生エピソードは実に面白かったです。
奈良に住む人なら誰でも感じると思われる、「もどかしい」気持ち。
歴史的建造物や古くから残る素晴らしい文化があるのに、観光地としてアピールしきれていない現状。
参加者には奈良に移住してきた方も多く、外から来た方の方がよりそれを感じているようでした。
船津さん曰く、観光地として奈良の伸びしろは95%。
玄人受けする奈良の魅力をうまく広報することが重要だと言います。
そして奈良生まれの身としてイタかったのが、「奈良の人は本当に観光地として発展したいと思っているのか?」と感じることがあると言われたことです。
おっしゃる通りで、奈良が好きで現状には満足していないものの、奈良の魅力はわかる人だけにわかればいいと悠長に構えている奈良県民は少なくないと思います。
私も少し前まではそう思っていました。
しかし、数年県外に住んでみて、帰郷した時に実家近くの店が閉店しテナント募集の看板が並ぶのを見たときに、このままでいいのかと危機感を抱きました。
今回の授業に参加したのもそんなことからです。
船津さんのお話は未来を向いていて、奈良の可能性を教えてくれるものでした。
最近、県内各地で地元の特性を生かした素敵なお店が増えているように思います。
歴史という地盤に人を呼ぶ器が出来つつあるので、(宿泊施設の少なさは問題ですが)行政とも連携して人を呼ぶ仕掛けが作られていったらいいなと思いました。
最後に、船津さんもおっしゃっていましたが、奈良の素晴らしいところは空の広さだと思います。
建造物の高さに制限を設けているだけあって、本当に空が広く感じられ、緑や周りを囲む山々が実に美しい。
大きな発展を望むわけではありません。
等身大の奈良の良さをずっと残していけるような環境づくりができたらいいと思います。