新しいものと古いものが混在する場所 ~ならまち~

●レポーター:奈良市在住 西園寺しおんさん

冬の夕方から夜にかけてならまちに訪れるのは初めてだなぁ~と思いつつ、近鉄奈良駅から東向商店街、もちいどのセンター街を通って、奈良町資料館へと向かいました。
今日の授業は「ならまち、その歴史・文化・信仰 ~奈良町資料館から見るならまち~」。
座学と散策を組み合わせた盛りだくさんの内容でした。
さっそくですが、心に残ったことを少し紹介させていただきます。

新しいものと古いものが混在する場所 ~ならまち~_1

まずは奈良町資料館館長の南先生の「世界遺産学習」についての座学でした。
お話を始める前に、教室となった蔵上3階から眺める景色に魅了されました。

新しいものと古いものが混在する場所 ~ならまち~_2

菊岡漢方薬のお店に場所を変え、店主より、奈良と薬(漢方薬)の歴史についてのお話。
甘茶の接待を受けながらでしたので、花まつりと甘茶についてのお話、季節柄お屠蘇についてのお話をしていただきました。
中でも、お屠蘇についてですが、お屠蘇はお酒でいただくものと思っていたのですが、白湯でいただいても大丈夫とのお話でした。
下戸の私はお正月にお屠蘇をいただいたことがなかったので、次のお正月にお屠蘇をいただこうかな?などと思いました。

新しいものと古いものが混在する場所 ~ならまち~_3

ならまちを散策しつつ特融寺へと向かいました。
徳融寺では、はじめに、墓地に行きました。
懐中電灯で照らしながらでしたが、ちょっと、不気味でした。
そこでは、中将姫の雪責めの松のあった場所と、照夜の前に突き落とされた崖などを紹介していただきました。
しかし(ごめんなさい・・・)暗くてよくわからなかったです。
改めて、明るい時に見学したいと思いました。

新しいものと古いものが混在する場所 ~ならまち~_4

御本堂に入り、ご住職が當麻曼荼羅の絵解きをしてくださいました。
使用した曼荼羅は、當麻寺にあるものの6分の1の大きさで、江戸時代に作成されたもので、とても色鮮やかな曼荼羅でした。
この曼荼羅の特徴として、下の部分に勧進したお坊さまと大口寄進されたご夫婦の肖像画が描かれていました。
ご住職の曼荼羅を示しながらの謡い(?)のような極楽往生のお話を聞きながら、心の中では、上品上生でお迎えが来てほしいなぁ♪などと思ってしまいました。

新しいものと古いものが混在する場所 ~ならまち~_5

當麻曼荼羅を堪能した後は、ご本尊の阿弥陀如来さまにお参りさせていただきました。
通常、阿弥陀さまの脇侍は観音菩薩さまと勢至菩薩さまがいらっしゃるのですが、徳融寺の阿弥陀さまは毘沙門天さまと石清水八幡さまがいらっしゃいました。
毘沙門天さまは開祖・良忍上人さまの念持仏、石清水八幡さまは中興の祖・法明上人さまの念持仏さまとのことです。

ご住職のご厚意で、観音堂の子安観音さまも特別にお参りさせていただきました。
子安観音さまは、赤子を胸の前に抱き上げた珍しいお姿をしており、キリスト教のマリア像のようにも見えます。
ここでは、「浦上キリシタン事件」についてお話してくださいました。
浦上キリシタン事件は、明治2年(1869年)に起きた明治政府がキリシタンを弾圧した事件です。
この事件で流刑になった者を奈良で受け入れているという歴史があることを初めて知りました。
初めは遠い九州で起きたキリシタン弾圧と奈良のお寺がつながるの?と頭の中で疑問符が浮かびましたが、お話を聞いて新しい奈良を垣間見ることができてよかったです。

新しいものと古いものが混在する場所 ~ならまち~_11

また、梵鐘のお話も新鮮な内容のお話でした。
徳融寺の梵鐘は、もとは寛永年間の梵鐘でしたが、明治26年(1893年)に奈良県再設置運動がとり持つ縁で改鋳されたものでした。
奈良県が堺県(のちの大阪府)に取り込まれていた時期あることは知っていましたが、再設置運動の拠点としてお寺さんが使用していたことを初めて知りました。
そして時代が進み、太平洋戦争のさなか多くの梵鐘が金属供出により失われてしまいましたが、徳融寺の梵鐘は歴史的な事柄を示すものとして金属供出を免れることができたということはとても興味深いお話でした。

ならまちを散策していると、身代わり申をたくさん見かけました。
昔は家族の人数と同じ数の身代わり申を軒下につるしていたのですが、今は玄関などの屋内につるしているそうです。
世知辛い世の中になったものだと感じました。

新しいものと古いものが混在する場所 ~ならまち~_6

最後に、絵看板や120年前ごろの日用品を使って「昔人体験」をさせていただきました。
絵看板について、櫛屋さんの櫛は9+4で13なので「十三や」というような洒落っ気のあるお話を聞かせていただきました。
火熨斗(ヒノシ)、炭火アイロン、木製の消火器、蔵行灯など、手にとって触れることができました。
中でも家の庭先に置きスプリンクラーの役割を果たす物体(すみません・・・名前がわかりません・・・)や、蓄音機で音楽を聴く(音はイマイチでしたが・・・)などの珍しい体験をさせていただきました。

新しいものと古いものが混在する場所 ~ならまち~_8

帰り際に吉祥天女さまの御身足を撫で、パワーをいただいて教室を後にしました。
この授業では、仏教伝来の頃のお話から太平洋戦争のお話まで、様々な時代のお話をたくさん聞かせていただきました。
ならまち・奈良というと奈良時代とか鎌倉時代など古い時代を思い浮かべてしまいがちですが、近代の歴史もちゃんと刻まれていることを改めて感じることができる授業となっておりました。
南先生、菊岡漢方薬さん、徳融寺ご住職、素敵な時間を過ごさせていただき、有難うございました。