1000年先まで繋げる力。進化する興福寺

●レポーター:五條市在住 辻子さん

奈良のぐっと寒くなった秋の早朝から、ひとまち大学さんの授業に参加させていただいてきました。
今回、興福寺国宝館独占!ということで、開門の1時間前の8時から宝物館に入らせていただけるようでしたので、とてもワクワクしていました。

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国宝館だけでなく、まずは興福寺そのもののお話から聞かせていただきました。
お話を聞かせてくださいましたのは興福寺の執事、辻明俊さん。
阿修羅展など、企画/広報をされており、より多くの方々に興福寺の魅力を発信されている方です。

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まずは何と言っても完成が間近に迫る中金堂に注目しました。
中金堂は過去7回の火災に遭い、時代によっては資金が十分にいただけなかったり、神仏分離令で見放されてしまったりと幾多の難を乗り越え、そして現在8回目の再建復興に着手されているのです。
また再建するにあたり、外見の再現だけでなく、素材や建築構造から、できるだけ天平時代から伝わる様式そのものを復興しようとされています。
というのも、以前から国宝館に昔の中金堂から発掘された鎮壇具、水晶や椀なども所蔵されておりますが、この道具達から見て取れるように、当時の人々の仕事の丁寧さ、現代にまで美しく残る姿、そして現代においてなお最先端を行ける技術は1000年先まで伝えていける力があるからだそうです。

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そして話は国宝館内に安置される仏像たちへ。
いくら国宝館と言え、こちらで展示されている仏像は、お堂で安置することが叶わず、一時的に所蔵されている「信仰の対象」である、と辻さんはおっしゃっていました。
例に挙げますと、国宝館にいらっしゃいます銅造仏頭は今回の復興で、約600年ぶりに中金堂に戻られるんだということなど。
このように再びあるべき場所に戻られ、美術品としてだけではなく、信仰として手を合わせていただき、再び宗教の面からも興味を持っていただきたいというのが本当の願いなんだそうです。
そのためには、興福寺の再建だけでなく、文化財保存や仏像修復の見直し、主に、欠けてしまった仏像などを再び綺麗な姿にすることなどが挙げられていました。
古き良きものを、ただこれ以上朽ちていかないように止める仕事が「保存」なのでなく、より先の未来の人々に当時のありのままの文化の姿を伝えられるように、どこかでオリジナルに戻す必要があるということです。

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今、その時代にさしかかろうとしているのです。
そして辻さんが以前からなされているような興福寺の魅力をより多くの方に発信していく活動が、今後の課題になっています。
来年には東京国立博物館で興福寺と関わりの深い運慶の展覧会が計画され、それの関連事業も多く計画されているそうです。

仏像の美しさ、文化や歴史の素晴らしさをただ愛でるだけでなく、今、私たちが興福寺ともに大きく時代が動く節目に立ち会っているということを、身を持って実感する授業でありました。