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河瀨監督が教えてくれた奈良、再発見
●レポーター:吹田市在住 R さん
進学を機に奈良からしばらく離れていたが、「特別授業・河瀨監督」に惹かれ、数年ぶりに奈良ひとまち大学の授業に申し込んだ。
実はきちんと河瀨作品を見たことないのだけれど大丈夫かな・・・との不安は、開口一番、監督の柔らかな奈良弁で打ち砕かれた!
お水取りの話から始まり、出身校などのローカルトークで、一気に身近になる。
「二月堂とか、平城宮跡とか、原生林とか、歩きながら脚本を考えます」
「夕陽が見える街が好きなんです」
なぜかこんな言葉を聞く度に、涙腺が緩んでしまった。
忘れかけていた奈良の風景が、河瀨監督の言葉と共に流れ込んでくる。
映画業界は全然お金にならないという。
興収の半分は映画館の取り分で、残りは配給会社が出資者に分配するから、出資していない監督は働いている時のお給料分だけ・・・。
「映画業界にもっと希望を持って欲しい」と始めたのが「なら国際映画祭」だそうだ。
2年に1度開催されており、なんと今年で5回目、10周年!
前々から「なぜ奈良で映画祭?」と思っていたが、こういう経緯があったと知って興味を持った。
いくつか短編映像作品をエピソードとともに紹介してくださった。
役者さんや地元の人に対する愛の溢れた語り口から、きっと河瀨監督は“人” のひとなんだろうなあと感じた。
人との繋がりを大切にしているから、周囲の人が河瀨監督の魅力に引き込まれ、どんどん表現の世界が広がっていく。
そんな風に思えた。
講義終了後、早速散歩した。
ゆっくり歩くと、今まで気にも留めていなかった景色がよく見えて、心が満たされていった。
河瀨監督、本当にありがとうございました。