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奈良で映画をつくり続ける
●レポーター:奈良市在住 ひらはらこ さん
髪をうしろでひとつに束ね、上下真っ白の服装で登壇された河瀨監督。
奈良で映画をつくり続けているのは「奈良を離れる理由がないから」とさらり。
なんとも奈良らしいその理由に、どこか心落ち着くものがありました。
講義は、河瀨監督の育った環境(思っていた以上に奈良中心でした)、デビュー作「萌の朱雀」で脚光を浴びるまでの日々の話、今日明日の仕事としての映画の話、おそらくこれからのライフワークとしての映画の話・・・。
その時間は、映像を交えつつ流れるように過ぎていきました。
恥ずかしながら、河瀨監督の映画は3作品しかみたことがなく、また、講義で映された映像は大半が初めてみるものでした。
河瀨監督も何度か仰っていた「どこだろうここは(全部、奈良とのこと。本当にびっくりしました。)」という不思議さがそれらの映像には多くあり、映像と奈良、それぞれの幅広さと奥深さを感じることができました。
果てのない広さと底のない深さがあるように思われる奈良は、憧れの対象になる都会や外国や田舎・・・そのいずれにも当てはまりづらい。
そのような、なんとも言えない地域と向き合い続ける河瀨監督の思いを、少しばかりお聞きすることができた、濃厚な講義でした。
新作「vision」はストーリーもさることながら、「どこだろうここは」と思いを巡らせながらみることになりそうで、今から楽しみです。