奈良ひとまち大学

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縁があって

●レポーター:大阪市在住 guu さん

大阪に住みながら、奈良の友人がきっかけで「奈良好き」になり、時々訪れています。
授業に参加させていただくのは、5~6回目でしょうか?

さて、今回の授業の先生は「土屋作庭所」の土屋裕さん。
テーマは「庭づくりを職業にしたわけ」。
30代半ばに会社員から庭師に転業されたそうです。
その転業のきっかけが「茶道」??
授業は、その経緯のお話から始まりました。

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元々、「茶道」は会社員時代からの趣味だったそうです。
働き盛りの30代。
仕事も忙しく、お休みの日には趣味の茶道。
その両立が難しくなってきたと感じ始め、どちらかを選ぶという岐路に立ったとき、土屋さんは自分にしか出来ない道に進みたかった。
それが「庭づくり」。
ん?でも、なんで「庭」??
それは・・・茶道の先生を生業とするのは難しい、それでも茶道に関係する仕事がしたい。
関係する他の職業を挙げていったときに、出来そうだ思ったのが「庭師」だったとのこと。
うん、繋がりました!

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そして、どのようにして「庭師」の道を歩み始めたかというと。。。
まず、図書館で関連資料を探し、そこで出逢った本が後の師匠となる古川三盛氏の『庭の憂』。
なんと!本に記載されていた住所へ直接お手紙を書き、会いに行ったそうです!
すごい行動力!!
そして初対面で意気投合した後、古川氏に師事することになったとか。

また、庭の見方についても話してくださいました。
代表的な作庭者として重森三玲氏と森蘊氏の紹介がありました。
重森氏は石庭で有名な方で、東福寺のお庭は重森氏作だそうです。
森氏は、土屋さんの師匠である古川氏の、さらに師匠にあたる方だそうで、後で調べてみましたら、奈良の庭を語るには欠かせない方なんだそう。
偉大な功績は引き継がれていくのですね。

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次のお話は、土屋さんの活動について。
主に、実際に手がけた作庭例を見せていただきました。
今回の教室となった貸町家「木屋 KIYA」さんの庭も、実は土屋さんが作られた庭だそうです。
シンプルですが、敷かれた大きな石や、こだわりの背の高い手水鉢。
どちらもご縁があって、他の場所から運ばれて来たのだそうです。
元からあったという松の木と南天を生かした素敵なお庭です。

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それから、土屋さんの活動の中で驚いたのが、軽トラックの荷台に畳を敷き、そこでお茶を点てるというもの。
写真を見て衝撃を受けました。
こんな茶席があるなんて!!
今年も6月の京都吉田山茶会に参加されるそうですので、ご興味がありましたら是非行ってみてください。

また、レポートを忘れてはならないお茶菓子について。
いただいたお茶菓子は、ならまちの和菓子屋さん「寧楽菓子司 中西与三郎」さんの特注!
桜をモチーフにした上品な甘さの“きんとん”。
薄茶も一緒に大変美味しくいただきました。
ごちそうさまでした!

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そして最後に、授業を通して印象的だったのは、土屋さんが度々仰っていた「縁があって」という表現。
人との出逢い、物事との出逢い。
すべては「縁があって」のことですよね。
まさに茶道の心「一期一会」ですね!

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実は、私も30代の初めに10年以上勤めた職場から、他の仕事に転職しました。
それもあって、土屋さんのお話は共感する部分も多く、とても興味深い授業でした!
ありがとうございました。