常備薬ゆえの葛藤?~海龍王寺のイケ住より~

●レポーター:奈良市在住 鹿男 さん

今回は奈良市法華寺町にある海龍王寺にて、みうらじゅん氏から「イケ住(イケてる住職)」の称号をいただいた住職の授業。
最高気温が7℃の寒い日のお堂での授業となりました。

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まずは、海龍王寺の歴史から。
元々、当所には飛鳥時代から毘沙門天を祀った寺院がありました。平城京造営の際、取り壊しや移転の憂き目に遭わず、逆に道の条割をずらして存続し(今でも奈良市役所から奈良ロイヤルホテルを越えて北に進んだ交差点がカギ型になっているのは、その名残だとか!!ヘェ~)、藤原不比等の邸宅や平城京の東北の鬼門を護ってきました。

海龍王寺は光明皇后が建立したのですが、名前の由来は、玄昉が唐からの帰り、遣唐使船で嵐の中を海龍王経を唱え、九死に一生を得て帰国したことから、聖武天皇から海龍王寺の名前と額を賜わったことによるとか!
また、玄昉は唐の武則天(則天武后)が各州に建立した大雲教寺に倣い、諸国に国分寺と国分尼寺を建立することを聖武天皇に進言するなど、我が国の仏教の発展に大きく貢献しました。

お話の後は、各自が境内を思い思いに巡り、自分にとっての癒しスポットを見つけるひととき~。
ひっそりとした佇まいはすべてが癒しスポットのようなものですが、私は、西金堂に安置されている国宝五重小塔の前で癒やされていました!この五重小塔は天平時代で唯一残っているもので、小さいながら、大変精巧にできています。また、門から外に出られませんでしたが、道路から門に至る参道の土塀も風情があって癒されます。

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この後、住職に入れていただいたコーヒーをいただきホッとひと息つきながら、本日のメインテーマ「宗教は家庭の常備薬?」のコーナー。
まず住職から、昔からの宗教と家庭との関わり、現代の仏教における課題についてお話がありました。

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昔は、「ウソついても神様仏様が見てるで!バチ当たるで!」など、日常のしつけや生活の中に宗教が自然に息づいていて、いわば「家庭の常備薬」のような存在でした。
しかし、現代はこうした教えが通じにくく、文明文化の発達とともに人々は横着になり、過程より結果が重視されるなか、教えの上でも特効薬が求められ、常備薬として安定から安定を説く仏教では人々の悩みや苦しみに応えきれず、特効薬的に不安定から安定を説く新興宗教などにすがる人々が多くなったりしています。
行基・法然・親鸞・日蓮など昔の僧侶は、自らの信念や個性を前面に押し出し、人々の信仰を集めていましたが、現代は宗派や教団の一員としての立場が重視され、個性を押し出しての宗教活動が難しくなっているとのことです。
住職のお話を伺っていると、「仏教の世界もいろいろ大変だなあ」と感じました。

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その後の住職への質問は、「自殺しようとする人を仏教は救えるか?」「仏教をもっとわかりやすく教えてほしい」などといったものでしたが、住職は一つひとつの質問に、自らの体験談なども交えながら真摯に答えてくださいました。

住職は、仏教をわかりやすく伝える手段としてTwitterなどで情報発信されており、今回の質疑を通して、「1週間に一度、ブログで仏教をわかりやすく解説する。」と宣言されました!Twitterのアカウント名は@kairyuoujiですので、ぜひご覧になってください!

授業後、辺りは暗くなりましたが、いつの間にか参道に灯火が!

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寒いなかでの授業となりましたが、住職のお話に心温まる一日でした。