雅な香りを心で聞き 悠久のときに思いを馳せて

●レポーター:奈良市在住 アリス ママ さん

この度は薬師寺の慈恩殿での香道体験に参加させていただきました。

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香道は華道・茶道と共に日本の伝統芸道における三道とされております。
また、仏教では香りは場の清浄を保つと共に香気で仏を喜ばせるとされ、仏教の伝来と共に香りが伝わりました。
平安時代には禅が加わり香道となり貴族へ、鎌倉時代には武士にも広まったとされております。

今回は公益財団法人お香の会のご指導のもと、公家からの流れを組みます御家流(公家の香)を宮廷遊戯の薫物合「源氏香」を通じて体験致しました。

完成されたばかりのシルクロードの世界を描いた細川元首相の絵で囲まれた神秘的な空間の慈恩殿の広間で、40人もの受講者さまと清らかで優雅なひと時が、どこか緊張感のある厳かな雰囲気の中で始まりました。

雅な香りを心で聞き_2

最初にお香の会の先生より香の種類と起源についてのお話をいただきました。
香木は六国五味と6種類に分類され、木所によって香りの特徴が異なり、その組合せによって親しむ組香は何通りにもなること。

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また、香木(沈香)は大変貴重なもので、亜熱帯の地方で自然に樹脂化し発生した伽羅は以前から金と同じ価値とされてきましたが、近年には香木がワシントン条約で輸入禁止となり金の10倍の価値にまで高騰している為、日本に今ある物を大切に使用して伝統芸道を支えておられるとのお話もいただき、改めて香りを集中して聞くことが出来ました。

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「源氏香」の説明では、構造式を使い52通りの香りの中から1種類を聞き分け、源氏香図の中から図と名前を見つけ出し、配られた和紙に各々の聞いた答えを記載すること、聴き方では一香炉に三息聞くことが出来て集中して心で聞くことを教えていただきました。

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そしていよいよ香元(香りをたき出す人)が連衆(集まった客)に香炉をまわして組香が始まり、自分の席に来た際は頭が真っ白になっていましたが、比較的作法よりも聞くことに集中できる香道であるアドバイスのお陰もあり、初めて聞いた香りが心身に優しくスーッと巡っていきました。

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5香炉の香りを聞き終わり、「香満ちました・・・」と全員でご挨拶後、回答を相談せずに各自記載、源氏香の図を見て、一瞬は1香炉目と2香炉目が同じことは無いのでは?と頭をよぎりましたが、心と対話し最初に感じた思いを大切にして「若紫」を選ぶことに致しました。
結果は、執筆者(香席の記録を書く人)が連衆の記録を取りまとめ採点、結果発表♪

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今回は「若紫」。
なんと当たっておりました。
発表後には結果を記載した記録紙が最高得点者にプレゼントされるのですが、私達の組は4人の正解者がおりました為にいただけませんでした(笑)。

先生からは、解説と共に人それぞれ感じ方は違うので、5種類の香りを好きなように楽しむ点、初めの印象が割と合っている点や自分なりに何かと特徴づけて聞くと良い点などのアドバイスをいただきました。
正解や記録紙以上に、この空間での唯一無二の体験を心より楽しむことが出来ました。
企画・主催いただきましたスタッフの方々に感謝申し上げると共に、芸道が奈良の地で脈々と引き継がれていきますことを切に願っております。

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最後に、先日の新聞で「写本『若紫』発見」に胸踊らされ、平成23年に正倉院展で蘭奢待を拝見し、親子で魅了され、当時低学年の息子が調べ学習として学級で発表した香木、歴史深い香道に興味を持ち今回応募するきっかけとなった蘭奢待が、東京国立博物館で開催される「正倉院の世界 皇室がまもり伝えた美」展示されるようです。
御物とされ天皇の許可なく見ることの出来ない蘭奢待が、令和を迎えても人々を魅了し続けていることに感慨深いものを覚えております。

奈良の地でもっと感性を磨き、自分の時間も大切に心豊かに学び続けたいと思っております。
今回は本当にありがとうございました。