奈良ひとまち大学

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奈良公園の鹿は本当に元気です!

●レポーター:奈良市在住 奈良のカピバラ さん

春先以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、奈良公園から観光客の姿が消えました。
今でこそ国のキャンペーンの影響もあって日本人観光客の姿は戻って来ましたが、隆盛を極めたインバウンドについては見る影もありません。

そんな中、思いもよらぬ影響として大きな注目を集めたのが「奈良のシカ」です。
鹿せんべいが貰えなくなり、エサを求めて市街地をさまよっているとか、激やせしているという報道が新聞やネットニュースで取り上げられ大きな反響を呼びました。

奈良公園の鹿は本当に元気です!

ただ、私自身、自粛期間中は毎週のように奈良公園に出向いていましたが、そのようなシカの姿を見かけたことはなく、むしろ「シカらしく」のびのびと暮らしているようにさえ見えました。
ですから、そうしたニュースの内容に強く疑問を持つようになりました。

奈良公園の鹿は本当に元気です!

今回の講座では、愛護会のスタッフの方から直接コロナ禍における奈良のシカを取り巻く正しい知識について学べると思い、申込させていただきました。

奈良公園の鹿は本当に元気です!

さて、そこで学んだことの一部を取り上げると・・・

・ネットニュースで取り上げられた「激やせしたシカ」について
→高齢のおばあちゃん鹿で確かに痩せてはいるが、それは鹿せんべいではなく、寄生虫や過去の交通事故の後遺症が原因であると考えられる。

・市街地にシカが進出するようになった理由
→コロナ前からよくあること。
街から人が少なくなり、彼らの行動を遮るものがなくなったためと推測(コロナは無関係)。

・春先に新聞に取り上げられた夜の商店街を彷徨うボサボサの毛のシカについて
→春先は「換毛」の時期で、そもそもそういう見た目なる。
弱っているわけではない。

・シカが「狂暴化」しているという報道について
→少なくなった観光客に(せんべいを貰おうと)鹿が殺到している様子を見て、それを「狂暴化」していると言われても困ります。

というようなことでした。

奈良公園の鹿は本当に元気です!

むしろ、「激やせ」したシカの写真だけがセンセーショナルに取り上げられ、鹿せんべい以外の食べ物(野菜や人間のお菓子など)を食べさせる人がかなり増加していることの方が大問題であると愛護会の方も認識しているようでした。

奈良公園の鹿は本当に元気です!

11月に入ってからも未だに奈良のシカについての報道が続いており、中には誤解を招きかねないものも多く、地元の人間の一人として辛く悲しい思いをしています。
愛護会の出動回数もすでに昨年度を大きく超えているそうです。
まずは私たち奈良公園周辺に住む地元の人間がシカを正しく理解し、接し方を伝えていくしかないと思いました。