詳細
●レポーター:奈良市在住 K さん
奈良ひとまち大学「みんなでつくる、コーポラティブ住宅 ~奈良のあたらしい『家』のかたち~」に参加しました。
コーポラティブ住宅とは、入居希望者たちが自ら事業主となって土地の取得や設計・建築の手配等の住宅の取得にかかる全てを行う住宅のことです。
今回の授業の舞台となるのが、20年ほど前に奈良に建てられたコーポラティブ住宅である「つなねコーポラティブ住宅」。
近鉄電車の平城駅―高の原駅間の車窓から伺うことが出来ます。
まずは、つなねコーポラティブ住宅内部にある集会室にて、建築時に開催したセレモニーで流したという映像を見せていただきながら計画段階のお話を伺いました。
映像はつなねコーポラティブ住宅が取り上げられた当時のTV番組や住民の皆様のホームムービー等を編集して作成されています。
活発な話し合いを通して計画が具体化されていったことや、入居前から住民の皆様の交流が盛んであったことがよくわかる映像でした。
中でも私にとって一番印象的だったのは、陣取り合戦、すなわちどの部屋に入居するのかを決める話し合いの様子です。
一世帯一世帯それぞれが希望を出して納得のいくまで時間をかけて話し合い、一部の設計を変更して決定されたとのこと。
理想とする住まいとそのコミュニティを丁寧に丁寧に築き上げてきたのだと感じました。
煮詰めていく中で計画そのものが流れかけたこともありましたが、その度に話し合い、知恵を集め、どうにか乗り越えてきたそうです。
その過程も楽しいものだと語る先生方の姿は、とても印象的なものでした。
建築に至るまでのお話を伺ったところで、次は実際に住宅の外観やお部屋の内部を見せていただきました。
住宅は北側の東西横並び2棟と南側1棟で構成され、その建物の間に中庭があります。
中庭は芝が敷かれたなだらかな斜面になっていて、ところどころに木々が植えられており小さな公園のようでした。
庭の管理は業者の手を借りつつも自分たちで出来ることは自分たちでやるということで、住民の皆様で芝を敷いたり植える木々の選定をされたりしたそうです。
各居室は水回りの位置も含めた間取りや内装を自由に設計されたそうで、それぞれの部屋は同じ集合住宅内の部屋とは思えないほどに異なっています。
元々所有していた家具に合わせて内装を作ったり、気に入った扉のサイズを調整して玄関にはめ込んだりと、住まいに対する様々なこだわりや愛着を聞かせていただきました。
最後に、再び集会室へと戻り、写真資料等を見せていただきながら現在の暮らしについて伺いました。
年間行事、講座や交流会の開催など活発なコミュニティ活動が行われていることや、総会の開催や住宅の維持補修の計画といった管理運営に関するお話です。
計画の段階から積み重ねられてきた住民の皆様同士の交流は、新たな住民の方も迎えながら今も様々な形で行われているそうで、授業のあったその夜も恒例の映画上映会が予定されているとのことでした。
とても豊かで楽しそうな生活だと感じます。
管理運営についても、自分たちでやるのが基本だそうです。
管理会社等は入れず、住民の皆様で維持管理の計画を作成し進めておられているとのことで、住まいに対する熱意や愛情を感じました。
今回の授業では、自らの住まいや暮らしの理想を自分たちの手で叶え、守っていこうとする努力やその楽しさを教えていただいたように思います。
それぞれのお宅の内部まで拝見し、大変貴重な機会をいただきました。
本当にありがとうございました。