奈良ひとまち大学

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奈良は、新しいことを始めるのにちょうどいい

●レポーター:葛城市在住 吉村成広 さん

奈良で働く醍醐味ってなんだろう?
奈良で働くことをもっと楽しくするには?
今回の特別授業は、奈良県庁に42年間勤め、数多くの事業に携わってこられた元公務員の福野博昭さん、そして会社員との二足の草鞋でクラフトビール醸造家として活躍する市橋健さんが、「奈良で働く魅力」や「楽しく働くためのヒント」を存分に語るトークライブ。

奈良は、新しいことを始めるのにちょうどいい

紀寺の家代表の藤岡俊平さんが諸事情により欠席されたことは残念でしたが、奈良で働くことや仕事への向き合い方を考えるとても貴重な時間になりました。
何より、おふたりの経験談が面白かったですし、仕事への情熱が刺激になりました。

【まずは福野博昭さんのトークライブ】

奈良県に住んでいれば、福野博昭さんの仕事の恩恵を受けていない人はいないのでは?というぐらい福野さんが手がけられた事業は幅広いです。
県税務から奈良公園整備、奈良シルクロード博、平常遷都1300年記念事業、奈良県東南部振興事業まで。
「それも福野さんが関わっていたんだ」と驚くとともに、いずれも小さなチャレンジからスタートしていることが印象的でした。

奈良は、新しいことを始めるのにちょうどいい

何か新しいことに挑戦するとき、高い目標を掲げて尻込みしてしまいがちですが、福野さんは自分のできることから「ひょいっと」やっていくような感覚。
たぶん並大抵ではない実行力やマネジメント力をお持ちだと思うのですが、最初の一歩がすごく軽い。
そのことに、いい意味で勇気をもらいました。

クロストークで「県庁って、ブルーオーシャンばかりなんですよ。おかしなこと、おもしろくないことばかりで。それってめちゃくちゃチャンスがあるってこと」と話されていたのですが、目の前にある障壁をそのまま壁と捉えるのではなく、開拓しがいのある大海と捉えたほうが、確かに挑戦するのが楽しいと納得しました。

奈良は、新しいことを始めるのにちょうどいい

さらに、福野さんの話を聞きながら感じたのが、「人を巻き込む力」の重要さ。
福野さんのトークを聞いていると、自然と引き込まれ、巻き込まれたくなるような感覚になります。
実は、そこには福野さんの強(したた)かな戦略があります。
それが「気づいてもらう作戦」。
相手から教えられたことは案外覚えていません。
でも、自分から気づいたことは強く意識していく。
だから、新たな事業を始めるときも、「こうしましょうよ。これをしないとだめですよ」と訴えるのではなく、「こうなるには、どうしたらいいと思いますか?」「この場合は、どう思いますか?」と質問を投げかけ続けることが大切。
すると、相手が自ら気づき、自然と巻き込まれていくと言います。
人を動かすには、質問をする!
福野さんの話から、私も新たな「気づき」を得ることができました。

【次に市橋健さんの自己紹介トーク】

市橋さんは、ふだんはロート製薬の社員さんです。
ロート製薬が副業を解禁したことをきっかけにクラフトビール醸造事業をスタート。
平日はロート製薬で働き、土日はゴールデンラビットビール代表として活躍されています。
数多くのビールコンテストで受賞をされていて、「すごい方!」だと思いました。
また、「クラフトビールを通して奈良の魅力を発信していきたい」という市橋さんの言葉とともに、奈良への想いがクラフトビール事業の端々に感じられました。
地元農家とのホップ栽培や、万葉集の枕詞を冠した商品名、クラフトビールを楽しむための場づくりなど、奈良を軸にビジネスを設計されていて、奈良で起業するためのヒントがたくさんありました。

奈良は、新しいことを始めるのにちょうどいい

市橋さんがクロストークで、こう語られていたのが心に残っています。
「ゴールデンラビットビールは、仕事というよりは大人の部活動という感じ。もちろん部活動だからしんどいこともあるけど、それ以上に面白いからやっています。仕事をしんどいか、しんどくないかで判断するのではなく、おもしろいか、おもしろくないかというように、見る角度を変えてみることが大事です。」
仕事を楽しむために何をすべきか。
まずは自分の視点を変えてみることから始めてみたいと思いました。

【最後は、福野さんと市橋さんのクロストーク】

すべてが有意義な内容だったのですが、特に印象に残っていることを紹介したいと思います。

●奈良は、新しいことを始めやすい環境が整っている。
その理由として、世界的な観光地であり、地の利がある。
手がついていそうで、手がついていないものが多い。
ブルーオーシャンがある。
隙がある。
ちょうどいいサイズ感なのでメディアなどにも拾ってもらいやすい。
まわりの人が温かくサポートしてくれる。
支援制度も整っている。

●奈良で起業するために必要なことは?
市橋さんが考える、起業するうえで欠かせないものは「やってみたいこと」「自分ができること」「ニーズがあること」の3つの輪。
福野さんは、こうありたいという姿を持ち続けること。
自分の弱点や弱みばかりに焦点をあてたり、「自分は〇〇だからできない」と言い訳をするのではなく、自分の強みにだけ目を向け、それを活かすことを考える。

●困難に陥ったり、誰かが反対したら、どうする?
困ったときは、素直に「困っている」と誰かに打ち明けることが大切。
そうすることで、必ず助けてくれる人が現れる。
誰かを巻き込むことになる。
反対意見に対しては、「yes,and~」で対処しよう。
「そうですね。では、これはどう考えますか?」というように、相手の意見を受けとめながらも質問で返す。
すると、相手に新たな気づきが生まれ、考えが変わっていく。
好きな人としか付き合わないことも大事。
みんなと仲良くなるのは無理。
共感できる人と付き合うことで、さらに共感してくれる人たちが集まっていく。

そして最後に、おふたりとも強調されていたのが、「いちばんダメなのは、やらないこと。小さなことでもいいので、まずやってみる」ということ。

奈良は、新しいことを始めるのにちょうどいい

私は以前、大阪に通勤していましたが、コロナ禍をきっかけに、奈良での在宅勤務があたり前になりました。
そうした日々のなかで「奈良で働くこと」について頭を巡らすことが多くなったのが、今回の特別授業に参加した理由です。
授業に参加するまでは、頭でっかちに色々と考えていたのですが、自分のできることを福野さんや市橋さんのように「ひょいっと」やってみようと思いました。
福野さんや市橋さん、楽しいお話をありがとうございました!