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●レポーター:奈良市在住 たまごの黄身 さん
奈良ひとまち大学の授業「わたしが藍の色にこめる思い ~藍師、染師という仕事~」に参加させていただきました。
藍染は以前から何となく気になっていましたが、初めての体験で、授業が開催される北ノ庄も初めて行く場所で、楽しみ半分、不安と緊張半分の気持ちでうかがいました。
教室は周囲に畑があってのどかな場所にあり、教室に入ると染料のツーンとした独特のにおいがしました。
出迎えてくださった先生の手と腕が藍色に染まっていて職人さんの手だと思い、どんなお話が聞けるのか楽しみが増したところで授業がスタート。
前半は先生のお話をうかがいました。
藍染について、藍師・染師になったきっかけ、徳島での修業時代、今の仕事について等々。
先生は全国的には少ない藍の栽培と染料作りを行う藍師と染める作業を行う染師を両方やっておられるとのこと。
収穫された藍のブルーの葉や、染料の記録ノートも見せてもらいながらの話は、藍染がどのようにできるのか全く知らなかった私にはイチからとても分かりやすく興味深かったです。
何より印象的だったのは先生の藍染に対する情熱。
藍染に出会って、染めるだけでなく色にも責任を持ちたいと思って藍師と染師を目指した。
休みがほとんどないけれど藍染が好きだからあまり苦痛だと思わない。
こだわりは“いい色を作る”こと。
妥協せず自分が納得するまで作業を繰り返す。
お話を聞きながら私も何かひとつ情熱をもって取り組めるものがあるといいなと思いました。
その後、藍の栽培をしている畑を見せていただきました。
小さな苗への水やりは、乾いているものだけに水やりをするのでなかなか根気のいる作業のようです。
この地道な作業がよい藍色に繋がるとのこと。
後半はいよいよ藍染体験。
藍染というと濃い藍色をイメージしますが、薄い色・中間色・濃い色と大きく分けて3種類ありました。
先生から、そのまま液につける方法、手ぬぐいをくしゃくしゃ丸めて液につける方法、数か所輪ゴムで絞って液につける方法を教えていただき、それぞれ思い思いの方法で自分の好きな色の染料につけていきます。
私は中間色で手ぬぐいをくしゃくしゃ丸めて液につける方法を選択。
ゴム手袋をしながら液にドボンとつけると少しひんやりとした温度でした。
発酵させるため一定温度(21℃?)に保たれていて、この時期は少し冷たく、冬場は少し温かく感じるとのこと。
1分?つけて液からあげて絞ってという作業を2回から3回繰り返します。
アルカリ性の液からあげて空気にふれて酸化させることで藍色に染まるようです。
また、かたく絞るほどしっかりと染まるようです。
最後に水につけて洗い流します。
どんな作品になったのかどきどきしながら手ぬぐいを広げるとくしゃくしゃに丸めた部分がむら染めになっていて初体験にしては満足するものができました。
手ぬぐいを広げて乾燥させながら、参加者それぞれに違う作品ができて「素敵ですね」と声をかけ合いました。
最後に再び集まって先生の今後についてお話をうかがいました。
今後は藍染がどのようにできるのか作業の裏側が分かるような個展を開きたいとのこと。
「個展を開くということは先生は芸術家になるのですか?」という質問に、「僕は芸術家じゃありません」と。
あくまで藍色にこだわりを持って取り組まれており、今後もそのスタイルを貫き通そうとする姿に心を動かされました。
先生のお話に藍染体験と盛りだくさんで、とてもよい時間を過ごさせていただきました。
ありがとうございました。