奈良ひとまち大学

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まちなかで愛される牧場で、人生のヒントをもらってきました

●レポーター:奈良市在住 Y.Y. さん

授業を受けるための教室となった、植村牧場さん。
代表の黒瀬礼子さんと知的に障がいをもった方たちとで運営されている、明治時代創業の小さな牧場です。

奈良に住み始めて2年。これまで地域のコミュニティーへの参加や関わりもあまりなく、奈良に住んでいるのに奈良の良さを知らないなんて勿体ないという思いと、“食”に関心をもち始めたこともあったので、今回、参加させていただきました。

初めに、黒瀬さんの自己紹介。年代物で今では珍しい木造の牛舎のお話や、牛の種付けの周期から牛乳を製品化するまでの工程、配達や地域の方との関わり、労働時間など、牧場の運営についてひととおりお話を伺いました。

ひとまちレポート まちなかで愛される牧場で、人生のヒントをもらってきました_1

一つひとつ自分たちの手でこなし、作っている牛乳に添加物も一切使っていないというお話を聴いて、これがものづくりをする上で本来あるべき形だなと思ったのと同時に、機械での大量生産や作業の時短、添加物での品質保持が当たり前の今の時代にそれを守り続けていくのは、並大抵のことではないなと思いました。

ひとまちレポート まちなかで愛される牧場で、人生のヒントをもらってきました_2

10分ほど牛や牛舎を見学し、黒瀬さんからできたての牛乳のプレゼントもいただきました。普段飲むものより味がとても濃厚。美味しくいただきました。

そのあと場所を室内に移して、黒瀬さんのお話の続き。
家を継ぐ気がなかった黒瀬さんが牧場を経営するに至った経緯、実習先での苦労・・・。
一番印象深かったのは、やはり知的障がいをもった方を雇用されたときのお話でした。
知的障がいをもった方を雇うのはやっぱり無理だと何度も思ったことがあり、そのたびに職安の担当者の方や親御さん、果ては養護学校の校長先生まで来られて頼み込まれたそうで、その方たちの熱意があったから、現在受け入れられているということ。
私には想像を絶するような苦労の数々を明るく話される黒瀬さんの人柄や、周りの方の支え、改めて人と関わるって素晴らしい!と心を打たれ、お話を聴きながら何度も泣き笑いしてしまいました。

今回の授業のタイトルは「まちなかで愛されてきた牧場へ ~しぼりたての牛乳をゴキュ!~」。
酪農やそれに併せた食についてのお話を聴くことができると軽い気持ちで参加させていただいたのですが、酪農のお仕事という枠には収まりきらない、人との関わりの素晴らしさ、まだまだ未熟な私には人生の大きなヒントをもらったような、とても素晴らしい授業でした。