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●レポーター:奈良市在住 ユキコ さん
「モテ鹿」のタイトルがおもしろかったので参加してみたのですが、内容はそれだけに納まらず、興味深いことばかりでした。
フィールドワークになっていて、鹿苑を出て、鹿モチーフの灯篭や鬼瓦のデザインが鹿になっているものなどを教えてもらい、奈良公園を歩きます。
途中、モテ鹿の話をしてくれます。
この季節は発情期で牡鹿たちは自分のおしっこを泥に混ぜて首の毛に塗りたくり、雌たちにアピールするんだとか。
これが彼らのオシャレで、モテるために頑張った姿だそうです。
牡鹿たち、心なしか胸を張ってポーズをキメている様にも見えます。
この時期の牡鹿は臭いけど、そう思っては頑張ってオシャレしてる鹿に申し訳ない気持ちがしました。
発情期の牡鹿は気が荒く、可愛い雌鹿をかまっていると人間にも攻撃してくるので注意が必要だそうです。
飛火野に出て、鹿の食事の話を聞きました。
鹿の主食は草とドングリ、2m以下の高さにある木の葉や芽なのだそうです。
だから地面の草は芝刈りをした様に短くなり、鹿が届く高さの木の葉は食べられているので見晴らしが良くなっている、それによって完成された景観であることを実際に見ながら学べるのは、フィールドワークの醍醐味だなと思いました。
鹿せんべいは彼らにとっては「おやつ」なんだそうです。
米ぬかと、つなぎに少しだけ小麦などを使っています。
鹿せんべいの収益は鹿たちの暮らしに還元されているので、自分もたまには協力しなくてはと思いました。
東大寺前は鹿せんべい激戦区だそうで、この辺りの鹿は積極的過ぎるぐらいにせんべいをねだってきます。
飛火野の方にいる鹿は「くれるんですか?ありがとう」という風に少し控えめなんだそうです。
最後に鹿苑に戻って、鹿苑の役割を教えてもらいました。
ひとつは、病気や怪我をした鹿を治療する病院的な役割。
もうひとつは、攻撃的な鹿・脱走する鹿・畑の野菜を食べてしまう鹿などを隔離しておく刑務所的な役割。
鹿苑のお世話にならないで過ごすことが鹿にとって幸せなのかもしれません。
ここで見せてもらったのが8歳の鹿のお腹から出てきた3kgのゴミ。
このゴミは人間が出したものでした。
鹿にはゴミを消化することも排泄することもできないので、どんどん溜まって死んでしまったそうです。
胸が痛いです。
人と野生の鹿が共存していくためには、人間側の意識が重要であることを最後に教えてもらいました。
奈良に住んでまだ半年程ですが、奈良のことを知りたくて授業に参加させていただきました。
1時間半のフィールドワークで学んだことはとても多く大切なことでした。
今度は、関東から遊びに来てくれる友人たちにも、ここで学んだ話をしてみるつもりです。