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●レポーター:斑鳩町在住 斑鳩町のミスターピンク&マダムイエロー さん
なんだかマジメそうな名前なのに気になっていた。
理由は、数年前の奈良ひとまち大学文化祭で、
他のブースとは全く違う雰囲気がただよう
アヤシゲな展示を見かけてから。
前回大好評という触れ込みの募集メールに、すぐ応募。
めでたく夫婦で当選の連絡がきた。
わくわく。
当日は快晴。
かつては遊園地でにぎわったというが、
今は落ち着いた住宅街、あやめ池駅から徒歩7分、
池の周りから少し入る登り道の奥、
ひときわ変わった建物が見えた。
これか。
羽かマントを広げたような、
両サイドに張り出した棟と、
中央の三角に張り出した玄関口。
建物に入る前から、
すでに漂う、
レトロモダンの香り。
その奥にある現館長のご自宅で、
本日の授業のイントロダクションが始まった。
現館長は、創始者・九十九豊勝さんのお孫さん。
色白、丸くて明るい、福福しいお顔である。
今日は1万点もある展示品から、
よりすぐりを紹介してくださるらしい。
参加者自己紹介では
「あやしそうなところ」
「近所に住んでいるのにはじめて」
「前から気になっていた」
「OSK?」
「愛媛から来ました」
1人ずつの熱気がすごい。
続いて、「おふだ博士」のあだ名で知られた、
アメリカの人類学者フレデリック・スタール博士と、
その通訳として日本行脚に同行した、
当時37歳の九十九豊勝さんが写っているフィルムを見せていただく。
この博物館の完成式典の様子だ。
その後、明るくなった室内で、
現館長が「では、歌います」。
え、歌うの!?
モノクロフィルムの世界、
昭和初期に思いをはせていた
われわれ、唖然。
ギャップに驚く我々にかまわず、
朗々としたお声で、
青い目の人形の歌を披露。
もとは日米友好の証としてアメリカから贈られ、
戦時中には、敵国の人形として焼き捨てられ、
その後、隠して守られていたものが
やっと日の目を見た、歴史ある人形。
人間の業が、
ほんのり悲しいメロディの歌に乗る。
ここで、
博物館へ移動。
縁切りを願う、変わった絵馬コレクション、
パラオ島でブタ20頭の価値がある、石のお金。
100歳まで生きられる椅子。
いちいち、好奇心をくすぐられる。
お守り札の「蘇民将来」は、
黄人説では、男根をモデルにしており、
こけしのルーツともいう。
ほんまですか?
一時期、おしゃれ女子に
こけし大ブームでしたよね・・・。
そして、いよいよ数人しか入れないので、
3グループに別れて、
性崇拝の研究室「森羅万象窟」に潜入。
もう、ここでの現館長の熱弁と情熱は、
黄人=(イ)エローマンこと、初代館長が乗り移ったよう。
「この人形、ひっくり返してごらん」
かわいい人形を、裏向けると・・・
「!!」
館長、めっちゃ嬉しそう(笑)。
100ページくらいは優にありそうな阿部サダの尋問調書。
コピーができないから、すべて手書きで模写したという。
どんだけーーー!??
研究室の壁一面に所狭しの蔵書は、
あらゆる言語の性の記録。
読んでみたいが、まずは読むために教養が必要・・・。
ピンクの道も一歩から。
私が気に入ってしまったのが、
我楽他宗の道楽絵葉書コレクション。
「真に教養のある」知識人が、
あえて「どうでもよさそうなこと」に
「本気と書いてマジで」で遊びをしかける楽しさを感じた。
いまは、こういう遊びに時間と手間をかけない時代。
なんて豊かな交流か、とうらやましくなる。
スーパーディープピンクな世界に潜ったあとは、
さわやかで華やかなお庭でひと休み。
館長の奥様が丹精されている、果樹たちがたくさん。
ゆず、ぶどう、柿、みかん、オリーブ。
・・・と思っていたら、
ところどころにある、道祖神や五輪の塔が、
どうも、
どうしても、
あやしいモノに見えてくる。
我々、しっかり、この博物館に影響されてしまいました。
そうですよね。
旅して、驚いて、学んで、笑って、愛し合って。
初代館長のフォフォフォ、と笑う声が聞こえてきそう。
絶筆は「Good-By」。
100歳までそうやって、
生きたらいい。
「人間、あそびとエロがあってなんぼよ~」
おしまい。