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●レポーター:奈良市在住 ゆめりん さん
ならまちの喧騒から離れた西の通りを歩き、路地を入った所に糞虫館はあります。
奈良ひとまち大学ののぼりが目印になりました。
扉を開けると白壁の部屋、急に明るい空間。
「糞」の持つ茶色い世界はありません。
メタリックな赤銅・黒・緑・青の美しく小さな糞虫たちが、宝石のように、カラフルなボール状のリングピローの上にちょこんと乗っているのです。
日本の糞虫だけでなく、世界の糞虫も。
大きな角を持ついかめしい糞虫も世界にはいるのですね。
展示を一通り見て2階へ。
中村圭一館長の講演が始まりました。
まず館長の自己紹介。
幼少期や中学・高校時代の昆虫との関わり方、学生時代の成績まで、サービス精神旺盛にお話ししてくださいました。
糞虫との最初の出会いは中2の昆虫採集。
大学時代にバックパッカーをして世界を歩いたことで、逆に日本の風景・環境の素晴らしさに気づかれたそうです。
自然に対するリスペクトが糞虫館の土台にあるのです。
金融機関退職後の「奈良県よろず支援拠点」(このような経営相談所があることも初めて知りました)での支援活動が資金獲得に繋がり、糞虫館オープンを実現されたことは、正に「情けは人の為ならず」ですね!
さて、いよいよ糞虫のお話。
「奈良は糞虫の聖地」
離島を含めて日本全体で160種の糞虫がいるうちの60種が奈良県、そのうち50種が奈良公園で生息しているとは驚きでした。
現在、奈良公園では鹿達が1日1トンもの糞をします。
それを糞虫は1~2日で、せっせと藁状、粉々にしてくれて、更にバクテリアが分解する。
「もし、糞虫が奈良公園から消えたらどうなるか?」
館長から問題提起があり、私たち学生は、一人ひとり頭の中でいろんなシーンを思い巡らせました。
(1)まず、奈良公園は糞だらけになってしまう。
(2)ハエが異常発生する。
(3)奈良公園に人が寄り付かなくなる。
(4)奈良の観光産業は衰退する。
説明を聞いて、糞虫が奈良公園の観光地化に大きく貢献していることがわかりました。
私たちのイメージするファーブル昆虫記のフンコロガシは、1つの糞を丸めて逆立ちして押して運ぶ「タマオシコガネ」です。
でも、奈良公園の「オオセンチコガネ」は前足で糞の破片を掴み後方へ進む、何往復もする働き者だということも知りました。
糞虫「オオセンチコガネ」の中でも、特に奈良公園のものは、美しい瑠璃色をしているので「ルリセンチコガネ」と呼ばれているのだそうです。
今や世界の人々から人気を集める奈良公園、これまで気づかなかった生き物たちと私たちの暮らしは繋がっているのですね。
早速、奈良公園に行って、青く輝くルリセンチコガネを探し「毎日ありがとう!」と言いたくなった、奈良ひとまち大学でした。
素敵なならまち糞虫館でのお話、中村館長ありがとうございました。