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奈良でがんばる監督さん
●レポーター:奈良市在住 とらきち さん
「奈良県出身の若手映画監督が撮った、奈良県を舞台にした作品」というふれこみに興味をもち、参加させていただきました。
地元が舞台ということで序盤はやはり景色が気になり、知っているところが出てくるのがとても楽しかったのですが、お話が進むにつれ、この作品の世界にどんどん引き込まれていくのを感じました。
特に印象に残ったシーンをひとつ挙げるとすれば、主人公のリサが滞在する民宿で出会った妊婦と会話するシーンです。
実はリサ自身も妊娠しており産むか中絶するか悩んでいて、そんな折に他の妊婦と交わす会話となれば「自分の中で命が育まれる愛おしさ」を語らせるのかと思いきや、「怖さ」を語らせます。
月日が経つにつれ膨らむお腹、以前と変わっていくその自分の姿が素直に「怖い」と語るところから、「命の大切さ」をありきたりの美辞麗句で飾るのではなく現実のものとして描きたいという、監督 戸田彬弘さんからの強いメッセージを受け取りました。
戸田監督が、今回の作品でこだわったテーマは「命」である、とおっしゃっていましたが、まさにその「命」について真正面から切り込んでいったシーンだったと感じると同時に、戸田監督の映画に賭ける熱い想いも伝わってきました。
昨年の友楽の閉館により奈良市には映画館がなくなってしまいましたが、戸田監督の活躍により奈良における映画の機運が盛り上がり、新しい映画館ができるきっかけになればいいな、と思います。
戸田監督、これからもがんばってください!