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●レポーター:奈良市在勤 はちこ さん
奈良市の中心からそれほど離れていないにもかかわらず、なかなか訪れる機会が少なかった田原。
そこで伝統的なお餅つきを教えていただけるということで、初めて受講いたしました。
はじめに田原地区伝統芸能保存会の方から田原地区で古くから伝わる「千本杵餅つき」に関する簡単な解説を受けました。
お祝いの時には2升、3升の米をつき、それ以上の量をつく時はお葬式の時だともうかがいました。
お餅をつくという行為にもしっかりとした意味がある、このようなことこそが「伝統」なのだと感じました。
次に、屋外にて餅つき実習をしました。
その日は朝から雪が降っていたためとても寒かったのですが、地元のみなさまの歌うお囃しに合わせてお餅をつくと、次第に気分もからだもほかほかしてきました。
千本づきはひとつの石臼を囲みながら、数人がそれぞれ細い棒を持ってつくという方法です。
初めて見たときは、誰も混ぜ返す作業をしなくても大丈夫なのだろうかと思っていたのですが、次第にきちんとお餅になったのには驚きました。
しかし実際に体験してみると、お囃子や周囲の人たちと息を合わせながらつくというのはなかなか難しいものです。
つきあがったお餅は、みなさんと一緒にきなこやおろしをトッピングしていただきました。
最近はつきたてのお餅を食べるということがめっきりなくなってしまっていたので、そのやわらかさと美味しさに感動してしまいました。
後半は一般的な杵を用いてつきました。
遠慮がちに遠巻きで見学しながらも、何名かの方が体験されました。
私も少し体験させていただいたのですが、思っていたよりも杵が重くバランスが取りにくい印象でした。
そうしてできたお餅はみなさんに分配され、各々で小さな鏡餅へと成形しました。
この作業がなかなか困難でした。地元の方からアドバイスをいただくのですが、どうも不恰好になってしまい、何事も経験を積むことが大事なのだと感じました。
終りには、保存会の皆様にリクエストに応えていただいて「祭文」を少し披露していただきました。
「祭文」は県無形民俗文化財に指定されていて、浪曲などのルーツになったと言われている貴重な伝統芸能です。
実際に聴くことができてとても感動しました。
昔ながらの伝統文化をしっかりと継承され、魅力あふれる田原地区。
市内の人でもあまり訪れることが少ない場所ですが、知らずにいるのはもったいないと感じました。
今回魅力の端っこを見せていただいたので、これからもっと勉強して知人にも紹介したいです。
素敵な機会を与えてくださってありがとうございました。