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●レポーター:生駒市在住 HW さん
1月25日、飯田むつみ先生の茶粥の授業に参加してきました。
数年前に新聞記事で先生の茶粥の会について知って以来、是非受けてみたいと思っていました。
今回は築100年の登録有形文化財に指定されたばかりの趣のある町家「木屋・KIYA」が教室でした。
美しく整えられた空間で、部屋の明かりや建具・机と、どこを見ても素敵でした。
まず飯田先生からの提案で 参加者が茶粥との関わりを含めて簡単に自己紹介をしました。
15人程が順番に、どこから来たのか、茶粥の思い出などを話しました。
娘さんに伝えたくて、あるいはおばあさんのお粥を思い出してなど、それぞれに茶粥に思い入れがあるのがわかり、聞いていて楽しかったです。
半分くらいが地元や奈良に縁のある方、半分が大阪などからで奈良に関心がある方だったように思います。
その後、ほっこりとした茶粥講座が始まりました。
茶粥が出来上がるまで、先生の幼い頃のお話や茶粥の歴史など、たくさんお話ししてくださいました。
「ほうじ粉を使うのは、ほうじ茶の箱の底にたまった粉を使うので奈良の始末の精神からくる」「あるいは、吉野の方面では林業が盛んなため、お粥に塩を入れて塩分を補給した」など、地域によって様々なお粥をあるそうです。
奈良で茶粥が廃れてしまった原因の1つとして 一時期、胃がんの原因と言われたことがあったそうです。
後日、茶粥が原因ではないことがわかったそうですが、このことがなければ現在も、もっと茶粥が日常的に作られていたかもしれないですね。
実際、先生が作ってくださるのを見ると、「私にもできる!」と思える簡単なレシピでした。
茶粥に興味はあるものの普段お粥を作ることがほとんどない上、先生がお使いの渋く染まった茶袋(さらしで作ったほうじ粉を入れて煮だすための袋)を見ていましたから、いろんな手順や難しさがあるのではと初めは少し不安に思っていました。
ところが先生は日々の暮らしに溶け込む一番簡単な茶粥を教えてくださいました。
茶袋がなければ市販のお茶パックで代用すればよい、土鍋は火加減が難しいので普通鍋で、しかもふきこぼれないように大きい鍋で煮るとよいなど。
出来上がりについては、お米の花が咲く状態の前後やとろみのつき具合まで丁寧に教えてくださいました。
今回は大人数分を1つの鍋で煮たので時間がかかりましたが、3人分程度であれば20分程で出来上がるそうです。
他にも 木杓子や茶袋について先生の愛用品を見せていただきました。
今は木杓子を手作りされる職人さんがいなくなってしまって手に入れるのが難しいそうです。
農家に眠っていたものを譲っていただいたお話も面白かったです。
茶袋はほうじ粉を入れて、ついている紐をくるくると巻き付けるのですが、縛らなくてもほどけないのは驚きでした。
そうこうしているうちに茶粥の完成です。
スタッフの方がお膳に載せて運んでくださいました。
茶粥の他に、ほうれん草の白和えや切り干し大根の煮物、お漬物、行法味噌などと一緒にいただきました。
茶粥の入ったお椀は先生のお父様が作られたものだそうで、本当に素敵なお椀でした。
ほうじ粉でかなり煮込んでいるので、私は茶粥自体にほうじ茶の香りがしっかりするのかと思っていたのですが、味も香りもとてもやさしいものでした。
皆さん3杯ずつおかわりをして美味しくいただきました。
講座の帰りにほうじ粉と行法味噌を買って帰りたかったのですが のんびりしているうちに時間がなくなり買えなかったので、次回は是非とも購入して家で再現したいと思います。
飯田先生は、とても柔らかい雰囲気で気さくにいろんなことを教えてくださいました。
帰り際に一部の方が先生のつけているエプロンが素敵なのでそのことをお話ししたところ 外して見せてくださいました。
変わった形の物なので私も写真に撮らせてもらいました。
「勉強」という感じではなく関心のある事柄を楽しく日々の生活に活かせる形で学べたこと、飯田先生、奈良ひとまち大学の方々、本当にありがとうございました!
奈良ひとまち大学は飯田先生の講座が受けたくて偶然知りましたが、これからも時々チェックして参加したいと思います。