詳細
●レポーター:奈良市在住 奈良開拓への道 さん
前半は「おがたま」にて、“奈良を染める”とはどういうことなのか、スクリーン映像と染織クリエイターいなむらさんの話から解き明かします。
いなむらさんは経歴が興味深く、元々は会社員だったそうですが、突然農業に目覚め農業の大学に入り直したそうです。
農業の勉強をしている過程で農作物の余った部分をなんとか利用できないかと考え、そこから胡瓜の葉やオクラの根などを使って染物を始めてみたそうです。
染織に興味を持ったキッカケも面白いですが、新しいことに次々と挑戦するいなむらさんのパワフルさに圧倒されました。
型染めの工程は大まかに
デザイン→型作り→染め→洗い→陰干し
の順で行われます。
デザイン:正倉院模様、キトラ古墳、蓮の花、大和野菜など奈良古代のモチーフが中心です。
型作り:柿渋の型を彫って作ります。これが硬くて力のいる作業です。
染め:グラデーションをつけたり、色を少しずつ変えたり、柄の配置を変えることで1点1点違う作品ができます。
洗い:春日の奥の地下水での洗い上げ。
ここまで分かったところで後半は、いざワークショップのため「えぼし工房」へ出発です。
ワークショップでは奈良ひとまち大学開校10周年記念の旗作製にあたり、この旗に図柄染色をさせていただきました。
今回の型は狛犬・鹿・野鳥など奈良を象徴する図柄です。
染料は緑・黄・青の3色を用意してくださっていましたが、参加者5人の3色が微妙に異なり、それが良い味わいを出していました。
染料はネバネバしており、化学染料と海藻の成分を混ぜたものだそうです。
それでは、早速染色していきます。
染めるところだけ型が彫られているので、そこを刷毛で染色していきます。
色も自由に選んで、普段の固定観念にとらわれず少しぐらい色が混じっても気にしません。
それがまた個性を出すのです。
刷毛の使い方は「の」の字を書くようにします。
最初は緊張で細かく細かく刷毛を動かしていましたが、段々大胆になっていきます。
図柄全てに色を入れ終わると、いよいよ型から外してみます。
ドキドキ。
いなむらさんもご自身の作品では、ここが1番の緊張と楽しみなのではないでしょうか。
「わぁ、ちゃんと色が入ってる!しかも色使いが先進的!楽しい!」
参加者、全ての作品にオリジナリティがあり更に旗の完成が楽しみになりました。
旗を作り上げる一員になれたことが喜ばしいです。
貴重な体験をありがとうございました。