奈良ひとまち大学

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10年先のもっと先まで残したいならまち銭湯

●レポーター:奈良市在住 ケム さん

ならまちの南、木辻の坂を上がりきったところにある「花園新温泉」と「西村邸」にて、ならまち銭湯部の発起人・杉本雄太さんからお話を伺いました。

10年先のもっと先まで残したいならまち銭湯

私の幼少期の頃は通学路に何軒もの銭湯があり、身近に銭湯の存在がありました。
しかし、大人になって、車での移動が多くなったからなのか?大型銭湯ができたからなのか?実感として銭湯の存在を感じなくなりつつある今、「レトロ銭湯を10年先まで残そう」という授業名に心打たれ、参加を申し込みました。

10年先のもっと先まで残したいならまち銭湯

まず、最初に花園新温泉の男湯脱衣所に入りました。
レトロ銭湯!と一言で表現するより、タイムスリップしたかのごとく、昔のままなのに今も使われている温かさと時空の繋がりに、日常から開放された気持ちになりました。

10年先のもっと先まで残したいならまち銭湯

湯気の立ち上る湯船、鏡には広告、赤と青のカランを見て「熱っついお湯出るやつや~」と心の中でつぶやき 、新しく張り替えたと教えてもらったタイルでさえも何十年も前から使われていたように、一つひとつ全てに歴史や地元の方の生き様が刻まれているようにも感じました。
ぜひ!写真では分からないその温かい空気を感じてもらいたいです!

10年先のもっと先まで残したいならまち銭湯

次に、向かいにある西村邸に場所を移して、「レトロ銭湯を10年先まで残したいですか? ~花園新温泉とならまち銭湯部~」と題して、直面した問題・課題やクラウドファンディングに至る経緯を聞きました。
イメージ的には成功体験のお話なんだろうなぁと思っていましたが、今の銭湯事情、施設の老朽化、跡継ぎ不在や高齢化・・・。
ならまち銭湯部の皆さんの部活動や文化祭などの有志の活動とクラウドファンディングによるボイラーの入れ替えによって何とか営業再開ができているだけで、根本的な課題の解決には至っていないことを聞きました。
花園新温泉の御夫婦が地元から愛されているからこそ、杉本さんと有志の部員さんの心を動かし、ボイラー寿命とともにフェードアウトするのではなく、息を吹き返したのだと感じました。
今後、残る課題への打開策は?
「誰が、誰のために、どうやって、受け継ぐのか??」
投げかけられたその問いに、杉本さんの「ならまちへの思い」を強く感じました。

10年先のもっと先まで残したいならまち銭湯

また、銭湯グッズやロゴなどを制作されているお風呂好きの方からも、クリエイターの視点からお話をいただきました。
花園新温泉を知ってもらうためのイベントだけでなく交流や表現の場として活用されていることなど。
昔からの常連さんだけでなく、地元の方だけでなく、花園新温泉を知る皆の「残してほしい」思いから、「残そう。」そして、「残したいですか?」の「思いの経過」もまた花園新温泉に刻まれていくのでしょうか。

10年先のもっと先まで残したいならまち銭湯

最後に、女風呂の脱衣所に貼ってあった、済美小学校5年生が2015年に制作された「済美の町で残したいもの」の取材記事とポスターを目にして、あれから10年、そして10年という長いようで短い期間を受け継ぐ世代となりたいなぁと、決意新たに行動したいと思います。

10年先のもっと先まで残したいならまち銭湯

感動をいただき、ありがとうございました。