奈良ひとまち大学

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観光とお土産を感動と財産に

●レポーター:奈良市在勤 TORIICOH さん

志賀直哉が言った「奈良にうまいものなし」の印象をそのままに、
奈良に住む人に奈良の良さはなかなか見えないものだなと感じていた。

みんなが「奈良にはいいものがあるけど知らないだけ」「アピールが下手」と口を揃え、
だけど自分では形にできていない人がほとんどだ。

そんななか、今回講義をしていただいた有限会社WORLD COLLECTION井下泰憲さんは、
思いと理想を形にしている数少ない方だ。

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他県から奈良の大学に学びに来られ、奈良を好きになる。
同時に、絵本を作りたいという目標を定め、「縁」あってイラストレーターの方と出会い、
鹿のオリジナルキャラクター「ロクちゃん」を商品化。

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正直言って、うらやましい。
奈良に住む人にはできなかったことが、他県で生まれ育った人にできたのだ。

井下さんは、(1)単純に考えること (2)誰に何を伝えたいか この2点を重要に考えていた。

僕が解釈するに、
(1)単純に考えること
→絵本を作りたい→キャラクターが必要→奈良に住んでいるから鹿のキャラクターで。
→お土産をつくる→奈良といえば、大仏・鹿→鹿にする。
(2)誰に何を伝えたいか
→奈良に来た観光客に→奈良土産を→鹿に関するお土産。

こんな感じだろうか。何せ、シンプルに考え、シンプルに行動する。
鹿のお土産は数あれど、自称クリエーターはたくさんいても、ロクちゃんくらいのキャラクターを奈良に送り出してきたのは、井下さんが初めてだと思う。

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奈良にお土産がない・・・と思っていた僕にとって、ロクちゃんの登場は衝撃的だったからだ。

もうひとつ、井下さんがポイントに挙げていたのが「人との出会い-縁-」だ。
高校の恩師との縁、整骨院で出会ったイラストレーターとの縁、そしてまだ見ぬ縁・・・。

「自分はイラストが書けない、だけど絵本を作りたい」とおっしゃっていたのは、
僕にとってそれは意外すぎるほど意外なことだ。
「イラストが書けないのに絵本なんて作れない」というのが先に出てしまう。
しかし、思い続けることで、「縁」の力で人と出会うことができる。
自分の力でできないことにチャンスをくれるのが、「縁」の力だと感じた。

今回の授業の最後に、課題を与えられた。
「今回の授業で感じたこと・思いを、形にしてみましょう」
画用紙や色鉛筆、発泡スチロールにハサミ・・・
僕はそのなかから粘土を選び、今回教えていただいた内容に合わせて手を動かした。

(1)単純に考えること
→新しいお土産→鹿は井下さんとかぶるので大仏→粘土の大仏
(2)誰に何を伝えたいか
→奈良に観光に来られた方に→体験できて、奈良らしいもの→大仏づくり

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これに、後づけで「観光に来て少し心を休めてゆったりした時間を」「手を動かして心を無にする」
「作る喜び→自宅に届く喜び→飾る喜び」となんだかんだと理由をつけてみた。
普段ではなかなかできない体験に、緊張しながらも心地よい空間で楽しく授業を受けることができた。

そして、授業が終わってから、色々な方と少しだがお話ができて、縁のチャンスもいただいた。

2時間程の短い時間だったが、貴重な体験や講義が受けられ、素晴らしい体験になった。
これから自分自身で何ができるか。誰かと何かができないか。
奈良のお土産産業になんとか食い込んでいきたいな。という気持ちが強くなった。

観光に来られた方が感動する奈良をつくり、お土産を購入された方の心の財産になる。

そんな奈良にしていきたいなと感じる授業だった。

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