奈良時代に食べられていたといわれている醤についての講演会に行ってまいりました!

『なら食』研究会代表の横井さんと奈良市京終のお醤油メーカーのいげた醤油さんが講師としてお話しになりました。
なぜ醤なのか・・・・。横井さんのお話。
わたしは醤自体よりどうして醤を再現したのかについて、横井さんのお話にとても共感し感動しました。

一人の主婦として暮らしておられ、たまたま奈良に引っ越してこられたのが縁だったそうです。食べるものに人一倍好奇心を持っておられ、奈良に移り住んだ当初から地元の醤油会社の味を確かめたり、その味を生かした郷土料理などを訪ね歩く日々だったそうです。
もともと興味のあることを突き詰める性格をお持ちのようで、醤についての興味が出てくるとどうしても作りたくなったと!
で、いろんな書物を読み漁りようやく中国で6世紀ごろに出された「斉民要術」という農業書兼料理本にいきあたります。
そこには醤の作り方がかいてあったものの、古代中国語なので普通の中国人には解読不明で翻訳書が出るのを待ち、待望の日本語訳を手に入れたのに、書かれている材料が日本で何に当たるのかわからなかったり、肝心の使用している菌が日本では手に入らなかったりとかなりご苦労がありました。

そこからがすごく面白いです。
横井さんは考えました。
奈良時代にこの書物が日本に来て、日本の料理人も同じように困ったんじゃないかと。
中国にしかない材料や菌は入手できない。
だったら、日本で手に入る材料や菌で作ったに違いないと。
そう、1300年前の奈良人に思いを馳せ、横井さんは手に入る材料や菌で醤の再現に取り組まれ、苦節6~7年。やっと試作品が出来上がります。

見た目は醪のようで、でも味は味噌でもなく、塩というか調味料のような感じで。
でもおいしい!
その味をみんなに知ってほしくてイベントでふるまったりしたそうです。
そして、ここからまたすごいですが、奈良県の醤油工業協同組合さんに乗り込んで醤を紹介したんだそうです。
乗り込んでこられた側のプロのメーカーさんは、当初興味があまりなかったようなんですが、ちょうど平城遷都1300年のイベントを2年後に控えた時期だったので、そのイベントに発表しようという話になり、メーカーでの製造が決定したそうです。
でも販売する商品としての醤製造は、かなりの困難を極め、メーカーとしては予想外だったようです。
試食させていただいた醤は、単体だと味噌でもなく醤油でもなく、塩の調味料のような感じです。
今回はクリームチーズに醤を添え、そこにはちみつをかけたものをいただきましたが、かなりかなりおいしいものでした。酒のあてみたいな感じです。
醤はまるで隠し味です。単体だと感じられない旨味を引き出すような感じでおいしかったです。

醤の話もさることながら、横井さんの好奇心と行動力には本当に感動しお話を聞いていると幸せな気分になりました。
夏らしい青空が広がった日に、小さなホテル奈良倶楽部でのひとまち大学の講座に参加しました。
参加者は全員女性で、奈良県外出身者の人がほとんどでしたが、共通するのは奈良がとても好きなところ。
すぐにお互い打ち解けることができました。

まずは谷先生に奈良倶楽部の成り立ちについてお話いただき、勘違いで今の場所で開業したこと、今までの失敗談などが印象に残りました。
もし、奈良倶楽部が今の場所でなかったら・・・と妄想してしまいます。

次はスライドショーを使った谷先生お奨めの奈良の朝の散歩疑似体験。
朝のすがすがしい空気が写真から伝わってきました。
お部屋を見学させていただいたあとは、いよいよ皆さん、お楽しみのダイジェスト版奈良倶楽部の朝御飯!
どれもこれもとっても美味しく、授業が終わって数週間過ぎましたが、またあの朝御飯をいただきたいと夢見ています。

奈良在住だからこそ、奈良に宿泊する機会はなかなかありませんが、憧れの奈良倶楽部でお話を聞き、朝御飯をいただき、旅行者の目で奈良を体感することができ、ますます、奈良が好きになりました。
谷先生、ありがとうございました。
