長らく大阪や東京で暮らしてきて、故郷の奈良に帰ってきて5年。
若き日に奈良を出る前は、「奈良には何もない」という何も知らない人間でした。
奈良に帰ってきて目が開き、奈良の歴史や伝統に根付く理にかなった作法や美しさを日々新鮮に味わっています。
そんな日々の中で「慈恩会(じおんね)」という法要を知りました。
「私の誕生日に何かすごい事やってはる!」という単純すぎるきっかけから、近くの興福寺さんの慈恩会に足を運ぶようになり、「詳しくは分からないけど、厳かな法要をされているのは分かる。もっと詳しく知りたい!」そう思いながら過ごしてきたので、今回そのお話が聞けると、とても楽しみにしていました。
先生の高次喜勝師のお話は何度か拝聴したことがあり、分かりやすく楽しく聞かせてくださる方だと思っていたので、お話上手で、かつ、実際に体験をされた方から知りたかったことが聞けるとなると楽しみも倍増です。

慈恩会とは何か?というと、薬師寺や興福寺の宗派「法相宗(ほっそうしゅう)」の宗祖・慈恩大師のご命日に執り行われる「論義法会」です。
基調講演・パネルディスカッションなどがあるシンポジウムという例えが非常に分かりやすかったです。
では何のための論義なのか?というと、お釈迦さまの教えである経典などの解釈を深め合う為の大切な論義です。
例えば、話す人によっては、聴き手を意識しすぎて話を盛ってしまったり、そもそも解釈が違ったりすることがあるかも知れません。
宗派内で解釈や伝え方にばらつきが起こらないようにする、そんな役割もあったのでしょうか。

この伝統ある慈恩会の中で「竪義(りゅうぎ)」という超難問口頭試験があって、それに高次師が臨まれた体験談が今回楽しみにしていた内容でした。
竪義を修めるには前加行という準備段階が3週間もあって、1畳にも満たないスペースで終日学問に没頭し、しかも寝る時はその場で座睡するという生活を過ごされるのだそうです。
世間に戻ってきて最初のうちは、電気がまぶしく、臭いや音が気になり、何より“選択肢の多さ” が辛かった、と仰っていたのが大変印象的でした。
入ってくる情報量に惑わされて、自分の中にある思想が見えなくなることが多いので、こういう究極のスタイルでは難しいにしても、私も全集中で何かに打ち込む時間を持ちたくなりました。

もうひとつ印象に残ったのが、師となる長老から「勧請(かんじょう。神仏にお越しいただくためのお願い)によって来てくださった神仏を惚れさせるような論義をしないといけない。暗誦が全てではない。」というようなお言葉を受けられたエピソードです。
書いてあることを全部覚えても、それだけでは意味がなくて、精神を寄り添わせて初めて完成に近づくのだと、学ぶことの本質を聞かせていただいたようで、心の奥深くに刺さりました。
言いたいことを言いたいように話す人がいて、それを聞きたいように聞く人がいて、とかく会話がすれ違うのは世の常ですが、こうやってお坊さまがたは古くからご自身を切磋琢磨してこられたのかと、改めて感激しました。
薬師寺さんといえば、“かたよらない心、とらわれない心、こだわらない心” を表した「般若心経」のお写経が有名です。
自分の頑なな思いに囚われず、柔軟にさまざまな考え方に触れ、じっくり内側で温めながら、のびのびと自分の根っこを深めていきたいなと思いました。
そうだ、近々お写経に行こう・・・。
ありがとうございました。
「松の木と古民家と奈良の食材と」に参加させていただき、楽しく学ばせていただき感謝いたします。
参加者人数も適切で十分に質疑応答をすることができました。
何から聞けば良いものか思案していましたが、接客のプロでいらっしゃるオーナーのご配慮により順番に質問形式でご進行いただいたことで質問させていただきやすく、大変有難かったです。

参加させていただいたことによって今回のテーマにますます興味を持ちました。
今後も店舗に足を運ばせていただき、お食事をいただきながら教えていただいたことを思い出したいと思います。

主催者の皆様におかれましては大変なご苦労がおありだったに違いないとお察しいたしますが、コロナ禍にあって久しぶりに文化的な活動に参加させていただけたことで、改めて文化的な活動の大切さに気付かされました。
ありがとうございました。
ネットニュースで〈奈良ひとまち大学〉を知り、古民家で古い松の木のある店舗というところに惹かれて今回初めて参加したのは、「松籟 ~まつのおと~」の店主である松本さんの講義でした。

5年ほど前に奈良のきたまちにある古民家を購入した松本さんは、大阪芸大卒で都市計画や造園を専攻していたことや、これまでにも内装業の経験もあって、松籟のリノベーションを自ら手掛けたそうです。
店舗づくりに加えて奈良という地域の趣向に合うメニュー開発をするなど地に足のついた取り組みが実を結び、テレビ番組でも取り上げられるほど注目を集めています。

ものづくりに興味のある私は、古民家がリノベーションでどんな店舗になったのかを見ることも楽しみのひとつでしたが、講義のなかで古民家は購入時にはわからないことが多いためリスクが高いということや、店舗の中庭にある樹齢300年(推定)という松の木についても移設や撤去をするのではなく現存する木を生かした家づくりをするという考え方にとても関心を持ちました。

松本さんのこれまでの経歴や松籟の店舗づくりについて伺ったあとは、参加者の自己紹介を交えたディスカッションが始まりました。
このディスカッションでの発見は、参加者の半数ほどが奈良出身ではなかったことです(私自身もそうです)。
地元の方だけでなく、他府県から移住されてきた方も奈良をとても大切に思っている気持ちが伝わってきました。

松本さんは地元が奈良ではないため、地元住民にとって外部から奈良へ関わることについてどのように思うかという質問を投げると、参加された方からは「人がたくさん集まることでお気に入りのお店の予約ができなくなったりするのは困る」といった本音や、奈良が変わってしまうことを望まず今のままが良いという声もありました。
何か新しいものや人が入ってくることは構わないとしながらも、奈良という地域性に合わせてもらいたいという考えに頷いている姿が見受けられました。
伝統文化や歴史的建造物が現存しているのは、参加者の皆さんのように奈良にあるものを守る気持ちを持つ人が少なからずいるからだと思えます。
奥ゆかしさとも言える奈良の人々の気質は決して商売上手とは言えないかもしれませんが、来るもの拒まずといった他を排除することもない懐の深さのようなものも感じられました。

私は奈良に引越して5年目になりますが、奈良について知らないことも多く、まだまだ新米だと気づいた講義でした。
帰り際に声を掛けてくれて奈良駅までの道を一緒に歩いたおかめさん(愛称)から神楽に携わっているとのお話を伺って驚きましたが、〈奈良ひとまち大学〉は本当に奈良の人と人をつなぎ、まちの魅力を教えてくれる場になりました。
三和さんのパンは、優しくて体に染み渡る。
そしてその感覚はもう何年も変わることなく、そのたびに私を元気にしてくれる存在。
そんな唯一無二のパンを作り出される三和さんに会いたくて、そのパンの誕生のエネルギーを知りたくて、今回の授業に参加しました。

お話は、パンを作るきかっけから始まり、生業となっていたMIA’S BREADの歩みを聞かせていただきました。
食べると元気!作ると元気!と話される三和さん。
パン作りへの情熱があふれていて、好きなこと、自分が楽しめること、自己を表現すること・・・と、お話を聞いていて、同じ女性として眩しく前を照らしてくださる方だなと、MIA’S BREADの中にある三和さんのエネルギーを感じました。
どんな素材がミックスされたら「美味しい」が生まれてくるのか。
その「想像」自体が、三和さんのエネルギーの源。
お話の中で印象的だったのが「想像力」というキーワード。
考えることは生きること。
生きることは考えること。
当たり前に分かっているはずの、そのワードが強いメッセージとして私の中に残りました。

世の中の様々なことが考え直される今、『考える』『想像する』このことが大切なことなのかもしれないと、三和さんのお話を聞きながら、ポッと私の中に温かい光が灯りました。
今回はこのような貴重な時間をMIA’S BREADのお店の空間で持てた幸運に感謝します。
生きるエネルギーの詰まったパンをいただきに、またMIA’S BREADを訪れたいと思います。
ありがとうございました。

奈良市に住んで5年。
長男が多くの食物アレルギーを持って生まれてきました。
しかし成長するにつれ克服され、最後に残された卵アレルギー。
母が料理教室をしていたこともあり、その血を継いでか、私自身は料理することは苦にならず、むしろ卵以外でタンパク質をしっかり摂取させ、彩りを考え、子どもが喜んで食べてくれる食事を作ることがミッションになり、それをクリアすることに快感を覚えはじめつつあった時に出会ったミアズブレッド。
市販のパンはコンタミネーションの恐れもあり、アウト。
アレルギー専用のパンは味はイマイチ値段高しでアウト。
なのでパン教室に投資して学んだ力を発揮する時でしょ!と試行錯誤作しながら息子のためにパンを作っていた時でした。
初めて食べたミアズブレッドのベーグル。
まあ。
その美味しいこと。
その時の息子の顔ったら!
脳裏に焼き付くほどの笑顔でした。
それから何度となくミアズブレッドに足を運び幸せのパンのお裾分けを頂いてきました。

今年育休が明け、仕事と家事・育児と目まぐるしい毎日の中、ふと目に留まった「ひとまち大学」のミアズブレッドの授業。
申し込まない選択肢はなく、すぐ応募。
くじ運は悪い方だけど、思いが伝わったのか!?当選通知をいただきました。

三和さんが話しはじめた瞬間から、「自信をもって人生を謳歌している」オーラに圧倒されました。
それは話が進むほど確信に。
「過去の自分は別の人」と言い切る強さ。
それだけ毎日を悔いなく全力で過ごしているのだと感じ、「やりたい」ことを「やる」「楽しんでやる」、正直もう嫉妬心が溢れました。

「まだまだ子どもも小さいし、職場も復帰したばかり。自分のやりたいことなんて。。。」とどこかで思っていたけれど、私は私。
そして「子どもたちにも、夫にも(笑)『やりたい気持ち』『好き』があることって素晴らしいと言うことを伝えたいな。」と感じた時間になりました。
今回のご縁に感謝致します。
素敵な時間をありがとうございました。