あなたの知らない「翁舞」の世界
2016.07.23 | 授業info | by Staff
毎年10月8日の夜、奈良市奈良阪町にある奈良豆比古神社(ならづひこじんじゃ)の秋祭りの宵宮にて、「翁舞」が奉納されます。
実はこの「翁舞」は、2000年に国の重要無形民俗文化財に指定された貴重な民俗芸能なのです。
ここまでは、かろうじて知っていた私ですが、このたび、その先の未知なる領域に足を踏み入れることとなりました。
なぜって?
8月21日(日)の授業「翁舞、を知っていますか? ~伝承を現代に伝える民俗芸能~」の担当になったからデス。
とりあえずインターネットで検索したり、翁舞のパンフレットを読んだり、図書館で資料を漁ったりと、できることは全部やってみた結果、次の3つのことなどがわかりました。
* 奈良豆比古神社は志貴皇子を祀る神社である。
(志貴皇子は天智天皇の子で、光仁天皇の父。万葉歌人として名高い皇族。)
* 翁舞は春日王の病気平癒を願い、春日王の息子・浄人王(きよひとおう)が舞を奉納したことにより全快したという伝承に基づく。
(春日王は志貴皇子の息子。光仁天皇の兄弟。)
* 奈良豆比古神社の翁舞は、能や狂言が発達する以前の形式を残しており、今日の洗練された能の型と異なり、素朴さと簡素さを特徴としている。
でも、やっぱり実際にお話を聞くのが一番勉強になります。
先日、奈良豆比古神社翁舞保存会のみなさんの練習日にお邪魔し、場面ごとの稽古を見学させていただきながら、お話を伺いました。
こちらは、奈良豆比古神社翁舞保存会代表の松岡嘉平治さん。
御歳96歳。
翁舞を後世に残すべく、長年に渡って活動なさっています。
授業当日、お話していただきますよ。
この日は久々に集まっての練習だったそうで、千歳(せんざい)さん(10歳前後の男児が演じる役)を囲んで、諸先輩方が動作や言葉を手取り足取り教えていました。
今年の千歳さんは、小学3年生の男の子。
今回初めて務めるとは思えないぐらい、かなりの台詞をすらすらと語り、一生懸命動作をする姿に、「凄い!凄すぎる!!」と感心するばかりでした。
「今はまだたどたどしいけれど、子どもってすごい速さで吸収するから、授業のときにはびっくりするぐらい上達していますよ」と翁会保存会の方が言っておられたのが印象的でした。
翁舞保存会は、舞う人・奏でる人も含め、全員が奈良豆比古神社の氏子さんで組織された ある意味素人集団だけれども、年齢に応じて経験を重ね様々な役をすることで、身体に浸み込んでいる感が半端なくて、続けていくことの重みを感じさせられます。
民俗芸能ではあるけれど、人に見せるためではなく、日頃から大切にお祀りしている氏神さまへの感謝の気持ちを込めて神事として奉納することが目的であるというところにも、意義を感じました。
さて、奈良豆比古神社の翁舞は春日大社の神事芸能とも関わりがあるとされています。
今年は、春日大社第60次式年造替の本殿遷座祭を記念して様々な催しが行われ、奈良豆比古神社翁舞保存会として、下記の催しに出演及び奉納なさいます。
★2016年8月27日(土)
「春日大社第60次式年造替記念フォーラム 芸能のふるさと 春日 ―猿楽から能楽へ―」
場所:奈良春日野国際フォーラム 甍 ~I・RA・KA~ 能楽ホール
★2016年11月12日(土)
第60次式年造替記念春日大社奉祝行事での「奈良豆比古神社『翁舞』奉納」
場所:春日大社 林檎の庭(※雨天時は幣殿)
授業では、8月27日の翁舞公演に向けて練習される姿を見学させていただきます。
貴重な機会になることまちがいなし!の今回の授業。
お申込み、お待ちしています!!
授業の申し込みはこちら
→ http://nhmu.jp/class/26081
(なさ)