削り氷にあまづら入れて・・・
2019.11.20 | 授業info | by Staff
甘葛煎(あまづらせん)。
甘い葛(かずら・くず)を煎じたもの?
じゃあ、この物体はクズの根っこか・・・?と思ったあなた。
ブッ、ブッー、残念でした。
正解はこの写真の中に!
大きな樹木に絡まる葉っぱに見覚えありませんか。
そうです。
ツタで~す。
甘葛煎は、ブドウ科のツタの樹液を煮詰めて作る、日本独自の甘味料。
清少納言の随筆『枕草子』にも載っています。
あてなるもの(上品、雅なもの)のひとつとして、金属製のお椀に入れた削った氷にあまづらをかけたものが挙げられています。
長屋王の邸宅跡から出た大量の木簡にも「甘葛」という文字があるそうです。
高貴な身分の方が食していた、貴重なものだったのでしょうね。
奈良時代から平安時代にかけて多く用いられていた甘葛煎。
鎌倉時代以降は廃れていったようで、戦国時代を最後に姿を消し、江戸時代には原材料も製造方法もわからなくなってしまった、幻の甘味料です。
そんな甘葛煎を現代に再現しようという活動が、今、奈良でされているのをご存じでしょうか。
12月21日(土)の授業「甘葛煎(あまづらせん)って、どんな味? ~まぼろしの古代スイーツ、復活!~」では、甘葛煎再現プロジェクトの一員である前川佳代さんにお話を伺います。
甘葛煎再現プロジェクトが始動したきっかけは、約10年前、奈良女子大学大学院で「奈良の菓子文化」をテーマにした演習だそう。
授業を担当していた前川さんを中心に、当時の文献を集め、報告・討論を繰り返し、菓子文化への認識を深めていくなかで、幻の甘味料・甘葛煎に着目するようになったそうです。
甘葛煎の材料であるツタが構内にあることも後押しとなり、2011年1月、奈良女子大学で初めて、甘葛煎の再現の実験が行われました。
さて、ツタは厳冬期に糖度が高まるので、収穫は冬真っ盛りな寒空の下で行うそう!!
そこからどうやって樹液を採取するか・・・。
試行錯誤の結果、遠心力を利用する方法が編み出されました(名付けて「甘葛ブンブン」)。
2019年1月に「奈良ちとせ祝ぐ寿ぐまつり」でもワークショップとして実施されましたが、募集開始してすぐに締切られるほどの人気だったそうです。
残念ながら、授業ではブンブンすることはできませんが、映像を交えてその様子をお話ししていただきます。
さらに、前川先生お手製の古代スイーツもご用意していただきますのでお楽しみに♪
お申込はこちら↓↓
http://nhmu.jp/class/33167
(なさ)