みんなが知らない僧侶の世界 ~薬師寺慈恩会~
2021.02.28 | 授業 | by Staff
2月28日の授業「開校10周年記念!リクエスト大会Vol.18 お坊さんの試験ってなに? ~薬師寺僧侶が語る『法相宗慈恩会』のリアル~」に従事してきました。
先生は、薬師寺僧侶の高次 喜勝さん。
薬師寺と言えば、長らく東塔の修理が行われていましたよね。
夜の国道24号線の高架道路から見えるライトアップされた東塔・西塔の雄大な景色が大好きだった私には、約10年ぶりとなる両塔が揃った景色に感動を得ていたところでした。
さて、授業について。
詳しくは、「ひとまちレポート」もご覧ください♪
「“学び”について考えさせてもらえた時間」
http://nhmu.jp/report/35509
慈恩会についての話が進んでいきます。
もちろん、一番大事なところは11月13日の口頭試問による「竪義」となる訳ですが、その日までにも「前加行」なる過酷な日々が待っています。
しかも21日間!
前加行のきまりには、無言・不臥・不過中食・別火があります。
私はこの中の不臥(横になって寝ない)と不過中食(正午を過ぎては食事を摂らない)は絶対に耐えられない・・・。
無理です、はい。
しかもこの期間、行部屋の灯りや煮炊きなどの火は、春日山のご神火で全てを賄うそうです。
日頃の生活で灯りに感謝なんてしたことのない私にとって、これまた過酷な環境です。
また、前加行の間は、六畳一間での生活。
お話のなかでおもしろかったのが、箱を用意したら、その上に本やお経類を置けるし、食卓も兼ねられる。
席から動かなくても座ったままで生活ができるということでした。
高次さんの小気味よいテンポにより、授業は調子よく進みます。
お話もとてもおもしろく、僧侶の方の印象が一変してしまいました。
お持ちになった資料や道具等を丁寧に説明してくださり、みなさん近くに寄ってじっくり観察されました。
こんなん普通見れないですから、めちゃくちゃ貴重な瞬間です!
過酷な行や環境を取り上げればきりがありませんが、その上で僧侶としての勉学があるのです。
一日中試験のための暗誦をしていないと覚えられないといった精神的不安感がしんどく、これで終えられるのだろうかと思われたそうです。
だって、たった1回限りの挑戦しかなく、満行しなければ破門となるのですから。
今回の堅義で高次さんの一切の世話(家事全般と家庭教師)をされた龍田さんに「堅義をやってみる?」と聞いたら「絶対しない!」とおっしゃられたそうです(笑)。
さて、授業は「前加行」の話でほぼ時間を消化してしまい・・・最終関門の「堅義」の話は時間を少し延長しました。
無事に満行された高次さん。
最後に「行に戻ってもいい。なぜなら選択肢がたくさんあり過ぎて世間の方がしんどい。そして何より行ではやりたい仏教ができる」とおっしゃいました。
物や情報に溢れ、あらゆる欲も多いがために、物事の本質の見極めもままならず、生き方・目標でさえ定まり難い現代、今後の自分の生き方・生活を見直していくいい機会となりました。
高次さん、ありがとうございました。
(つて)