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「おかいさん」に想いをのせて

2020.01.08 | 授業info | by Staff

1月25日(土)の授業「『おかいさん』はソウルフード ~茶がゆのある食卓の風景~」について、再び発信します。
前回のひとまちブログでは、大和の茶がゆについて紹介しました。
「大和の朝は茶がゆで明ける」
https://nhmu.jp/blog/info/14598

今回のブログでは、「大和の伝統食〝茶がゆ〟を紹介する会」主宰の飯田むつみさんの活動をクローズアップします。
飯田むつみさんは、さまざまな楽器の演奏をしておられ、長年、奈良市内の各所で演奏会をしています。
飯田さんといえば、フランスシター奏者としてご存じの方も多いのではないでしょうか。
そんな飯田さんが茶がゆを紹介する活動をするようになったのは、なぜでしょう?

「おかいさん」に想いをのせて_1

奈良市出身の飯田さんは、朝ごはんの食卓に必ずと言っていいほど茶がゆが並ぶような家庭で育ちました。
それこそ、茶がゆで大きくなったといっても過言でないくらい、「おかいさん」が当たり前の存在だったそう。
しかし、結婚・子育てなどのライフスタイルの変化に伴い、気がつけば、朝から茶がゆを炊いて・・・という生活から遠ざかっていました。

「おかいさん」に想いをのせて_3

子育てが一段落した頃、これまでの自分を振りかえり、そして子どもたちに何を伝えていきたいかを考えるようになり、たどり着いたのが「食」でした。
家族の日々の食事を用意することで、みんなの健康や生命を守ってきたこと、そして食卓は家族の想い出の象徴だと気づいたとき、茶がゆを啜りながら家族全員が食卓を囲む自分自身の少女時代の姿が脳裏に浮かんだそうです。

とはいっても、飯田さんと同世代の奈良の人たちみんなが、その当時に茶がゆを食べていたかというと、そうでもないようです。
パン食の普及などの食生活の変化により、茶がゆが朝ごはんだという人は少数派となりつつあったそう。
そして今、茶がゆは家庭の外で食べる特別なモノになっています。

「おかいさん」に想いをのせて_2

今つなげていかないと、昔ながらの家庭の味である「おかいさん」の文化がなくなってしまう。
そう感じた飯田さんは、10数年前から、自分が育った家庭の味である茶がゆを紹介するようになったそうです。
飯田さんの活動は、さまざまな年代を対象に行われています。
奈良県立畝傍高校でも、3年前から年に1回、茶がゆを実際に作りながら歴史や文化について話をしていると伺い、先日、その講義に同行させていただきました。

「おかいさん」に想いをのせて_4

学生たちも、それぞれのテーブルで実際に茶がゆを作ります。
びっくりしたのが、学校で取り揃えられたトッピング。
肉みそ・チーズ・おかきなど、ちょっと思いつかない取り合わせ。
しかも、なかなか美味しいのです。
いわゆる「和」テイストにとらわれず、自分たちが美味しいと思うものを合わせることで、現在の食に引き寄せているのかも知れません。
「美味しい美味しい」と、おかわりしつつトッピングを楽しむ学生たちを見て、新たな「おかいさん」の姿を見た気がしました。

「おかいさん」に想いをのせて_5

飯田さんにとって「おかいさん」は、毎日でも飽きない味、ホッとする味。
そんな飯田さんの「おかいさん」、食べてみたいと思いませんか?
奈良ひとまち大学の授業でも、実際に作る様子を見ながら、お話を伺います。

そして教室の「木屋・KIYA」は先日、国の登録有形文化財に新たに加わる運びとなった、注目の建物なんですよ。

「おかいさん」に想いをのせて_6

通り土間がなく玄関の間を設けていたり、床(とこ)つきの座敷やガラス障子を用いた開放的な縁など、戦前の良質な貸家の姿をよく伝えています。
※当日は座敷での授業となり、椅子はありませんので、ご了承ください。

お申込はこちら↓↓
http://nhmu.jp/class/33333

(なさ)

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