白いダイヤモンド?
2012.01.28 | 授業 | by Staff
黒川本家 東大寺店には、何度も伺いました。
「夢風ひろば」の入口を入り、左奥の角にお店があります。
ガラス張りながら、室内は木調で和洋折衷な感じがします。
店長の黒川健さんは気さくな方で、開店時にはお店の入口に立たれているか、店の右奥で執務をされています。
今回は、その黒川さんを先生に迎え、「奈良で生まれる『白いダイヤ』 ~吉野葛の深~いお話~」と題して授業を行いました。
「白いダイヤ」とは貴重な葛粉のこと。でも、日頃 葛を食べていないと、どういうものかよくわからない。
そこで、「葛の話をするには食べてもらうのが一番」と、ワンコインで葛餅を出すことにしました。
授業当日は山焼きの日。交通規制の心配も・・・。
しかし、開始時間が近づくと参加者が続々と集まり、全員が来てくれました。
今回の授業は、映写機材を使わず、印刷資料と実物資料での説明。
実際に葛根や葛粉、看板等を見ながらの解説は臨場感があり、これも良いものでした。
(葛の根を見ると、まず、その太さに驚きます。)
初めに干し菓子とお茶が出され、和やかな雰囲気で授業が進行。
やはり、「食」が絡むと話が弾みます。
葛粉は、世界で最も質の高いデンプンです。
その透明感と粘りを活かし、夏の和菓子や懐石料理に利用されてきました。
そのため、葛の料理といえば、葛饅頭や胡麻豆腐のイメージがあります。
しかし、これに止まるのではなく、黒川本家 東大寺店ではパスタやその他の料理に葛を取り入れ、新感覚の味覚を追及し新しい葛粉活用を提案しているそうです。
葛粉で天ぷらを作る話や葛粉を混ぜたココアの話などを聴き、日頃 料理で葛粉を使ったことがないという方も、「これを機会に葛粉を使いたい!」と宣言していました。
葛粉は抽出に手間がかかるため、保全活用をやめてしまうと使われなくなる可能性もあります。
「蕨粉や片栗粉は既に馬鈴薯澱粉に置き換えられ、名前だけが残っています。葛粉も、何もしなければ同じ運命を辿ります。」と黒川さんは言います。
途中、「葛餅」が出され、今聞いたばかりの葛の歴史を噛み締めながら味わいました。
質疑応答も活発で、授業終了後も熱心に質問をされている方や、帰りがけに葛粉を買い求める方もいました。
谷崎潤一郎が小説「吉野葛」執筆のために、宇陀の黒川本家に滞在していたこと。
昭和天皇が最後にお口にされたのが葛であること。
伝統に触れ、「吉野葛」も重要な地域財産だと、改めて思いました。
そして、伝統の枠からさらなる発展をめざして頑張る黒川さんを応援したいと思いました。
(浪鹿)