懐かしの町中華の味を訪ねて
2024.07.27 | 授業 | by Staff
公民館スタッフ12年目の“TH”です。
今回の授業「レトロな市場の中華料理店 ~創業52年の愛され町中華~」は、一見シャッター街アーケードの椿井市場の中にある町中華「大廣」が教室。
スタッフ一同、熱中症対策を万全にして臨みました。
学生のみなさんの何人かが「独りやったらこの路地にはよう入らんわ」と言うほど狭くて照明暗めのアーケードに、1人また1人と入って来られ、開始5分前には全員が集合。
10人がカウンター席に着くともう満席という店内で、店長の村上義廣さんの挨拶からスタートしました。
授業の様子は「ひとまちレポート」もご覧ください♪
「酷暑の奈良のレトロな市場の中華料理店は、人の心も熱かった」
https://nhmu.jp/report/41462
「料理も人柄も愛される店長」
https://nhmu.jp/report/41506
「レトロな市場の絶品中華と風景写真のはなし」
https://nhmu.jp/report/41577
村上さんは町中華で腕を揮(ふる)う傍ら、長年アマチュア写真家として奈良の町や自然を愛している方。
まずはご自慢の写真と、昔から愛用してきたという「蛇腹の写真機(ご本人の説明による)」の写真原板を学生のみなさんに披露しつつ、心を鷲づかみにしていきます。
「写真を撮るために山の中へ足を運んでも、良いシャッターチャンスに巡り合えなければ1枚も撮らずに帰ることもありますよ。なぜなら自然に失礼やからね」と、ご自分の中華料理と同様(いや、それ以上!?)のこだわりを熱く語ってくださいました。
ひとしきり写真のお話を伺ったあと、いよいよメインの中華に話題が移ります。
「よく注文される人気メニューは?」との問いかけに、「どれをとっても美味しいと思うよ」と自負される村上さん。
まぁ、中華料理屋なので、チャーハンや餃子、唐揚げは定番で人気があるとのこと。
共に店を切り盛りしている奥さまによると、同じメニューでも季節によって中に入れる具材を変え、なるべく旬のものを使うようにし、全く同じものはお出ししないとのこと。
その説明に、一同大きく頷いていました。
村上さんはお話を少し奥さまに任せ、調理に入ります。
先ほど人気メニューと伺ったチャーハン・唐揚げ、肉団子の揚げ物など、学生のみなさんのお箸がどんどん進みます。
スタッフは、漂う匂いと夏の暑さに頭がクラクラしそうでした(笑)。
村上さんは大阪・天満生まれの78歳。
若い時は東京で一旗揚げようと意気盛んだったそうですが、20歳頃に暮らし始めた奈良にハマって、そのまま居着いてしまったらしいです。
以来52年、椿井市場は第2の故郷だとか。
自宅では何にもせずにゴロゴロとどこででも寝ていると奥さまにカミングアウトされていましたが、大廣の厨房で重い中華鍋を自在に操る姿はとても年相応には見えず、とてもカッコイイことこの上ありません。
跡継ぎの話となると、ご子息たちは既に独立され、「もはや自分たちの代で終わりですよ」と少し寂し気に語る村上さんご夫妻。
学生のみなさんは残念がっていましたが、こればかりはなかなか難しい。。。
いよいよ授業も終わりに。
学生のみなさんから御礼の大拍手で締められると、村上さんは満面の笑みで「楽しかった、ありがとう」と返してくださいました。
奥さまも、とても嬉しそうでした。
確かに、ちょっと足を踏み入れにくい市場の中の小さな町中華ですが、村上さんご夫妻の人柄や愛情があふれる大廣が少しでも長く続くことを願いつつ、今度はプライベートであの肉団子の揚げ物をいただきに行こうと思っています。
(TH)