奈良ひとまち大学

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ひとまちブログ

帰って来たい場所

2017.08.27 | 授業 | by Staff

今回の授業「奈良に泊まりたい女子、集まれ!~女性専用のゲストハウス、誕生~」の教室は、西笹鉾にある一軒家。
思えばこの授業の従事が決まった時、西笹鉾という町の名に心惹かれて思わずand smiles hostelに足を運んでしまった。
外観は古民家で、その時はすべてが閉じられた状態。
だから私的には、今日という日の訪れをに純粋に待ちわびていた感じ。

帰って来たい場所_5

では失礼して・・・。
ガラガラと音が響く引き戸を開けると・・・ん?霧?いやいや香りからして明らかに違う!
あっ蚊取線香ですね。
陶器で作られたあの懐かしいブタさんの入れ物がお出迎えです。
学生のみなさんが来られる頃には玄関の霧も晴れ、目に飛び込むブタさんを懐かしんでもらえるでしょう。

帰って来たい場所_1

さて、授業の前にちょっとand smiles hostelを拝見。
まずは2階から。
「普段は2階、お貸ししてないんです」と言う美紀先生の声を背中に、「2階が私を呼んでいますので!」と心で呟きながら駆け上がる。

帰って来たい場所_3

やっぱり来て良かった。
畳敷きに磨りガラスの古い窓、そして古いタイプの鍵。
この鍵がいい!(私は鍵が大好きです。)

帰って来たい場所_2

こんな鍵を回したことありますか?
金属がキーコキーコと軋む音にガラスが呼応するように揺れて、カタカタと鳴るんです!
先生、どうしてこの「時忘れの部屋」(筆者命名)をお貸ししていないのですか!!

帰って来たい場所_4

そして1階へ。
1階には、控えめな小物たちが随所に。
美紀先生の一押しはキッチンスペース。
先生曰く「朝日がさし込む朝がいい感じ」なのだそうです。
日常のありのままが詰まったキッチンスペースと格子窓からの朝の光。
目を閉じて想像。
う~ん、小さな幸せがキラキラしている・・・。

帰って来たい場所_7

授業の様子は、「ひとまちレポート」をご覧ください♪
「女性専用のお宿『and smiles hostel』が人気の理由
http://nhmu.jp/report/28855

授業が終わってから気づいたこと。
ここは美紀先生の気持ちが映しだされた場所なんだ。
「心を研ぎ澄まして日常を見つめると、小さなことに幸せを感じることができる。」
なるほど。
帰り道、「いってらっしゃい!」と見送ってくださった美紀先生の言葉に、「また帰って来たいと思える場所がひとつできたな」と思った私でした。

帰って来たい場所_6

(お菓子な世界)

「おじぞうぼうや」が迎えてくれる福智院

2017.08.25 | 授業info | by Staff

9月30日(土)の授業「若き僧侶が発信する寺の魅力 ~地蔵信仰の聖地、福智院を知る~」のご案内です。
福智院は、奈良公園の南側、とても素敵なお地蔵さまとかわいいおじぞうぼうやが迎えてくれる、小さなお寺です。

「おじぞうぼうや」が迎えてくれる福智院_1

どんなに素敵なお地蔵さまかと言うと、本堂いっぱいにでっかい地蔵菩薩坐像がご本尊さまです。
んっ?本堂いっぱいにでっかい地蔵菩薩坐像~?
そう、その大きさは、像高2.73m、台座からの高さは6.76mと、見上げるほどの大きさなのです。
本堂がこじんまりとしている分、その大きさに圧倒されてしまいます。
切れ長の凛とした表情でありながら、少し前のめりになっているお姿は、今すぐ立ち上がって助けに行くぜ!という動きさえも感じることができそうです。
そのためか、地蔵菩薩さまの前に座ると、心が楽になるような、安心する気持ちになります。

それだけではないんです。
この地蔵菩薩さまは、光背を持つ珍しいお姿なんです。
現存の姿では福智院だけだそうですよ。
光背の大きさは約5m、そこに小さな仏さまがびっしりと並んでいるんです。
数えてみると560体、そこに少し大きなお地蔵さまが6体。
ご本尊の地蔵菩薩像を合わせると567体。
この数字どこかで聞いたような・・・。
そう、お釈迦さまが入滅後、56億7千万年後に下生するという弥勒菩薩の信仰に一致する数になるのです。
そこまで考えられた光背なんですね。
作られた当時の人たちの仏さまへの気持ちを知ることができるのではないでしょうか。

福智院の魅力は、お地蔵さまの大きさ&珍しい光背だけじゃないんです。
もうひとつ、「おじぞうぼうや」なんです。

「おじぞうぼうや」が迎えてくれる福智院_2

先生である僧侶・阪井慈眼さんは、ご夫妻で「おじぞうぼうや」というとてもかわいいキャラクターを作り、毎月決まった日にしか手に入らない限定のご朱印として頒布しています。
おじぞうぼうやは、福智院のTシャツや便箋、お茶などにも登場していますよ。
また、境内の草木で染めた布でかわいいオリジナル御朱印帳なども作られていて、その一つひとつが心を和ませてくれるんです。
色々な形で参拝者と仏さまとの距離を縮めてくださっているのですね。

「おじぞうぼうや」が迎えてくれる福智院_3

授業では、今年30歳を迎えた阪井さんから、福智院のことや奈良への思い、「おじぞうぼうや」誕生の話などを伺います。
では、授業でお会いしましょう!
申込はこちら↓
http://nhmu.jp/class/28581

*阪井さんご夫妻はブログ「南都 福智院からの情報発信!」を日々更新中。
 ぜひ、ご覧ください。
 https://ameblo.jp/nanto-fukuchiin/

(かっぱ)

田原がまるまる博物館

2017.08.19 | 授業 | by Staff

ここは夏の田原。標高400m。
標高が100m上がると気温が1℃下がると言いますが、市街地より3℃程度涼しいはずの田原でもジリジリと照りつける太陽には勝てません。
暑い1日の始まりです。

田原がまるまる博物館_1

8月19日(土)の授業「やま里がまるごと博物館! ~田原地区の魅力、お届けします~」のスタッフは、甘えん坊で恥ずかしがり屋の“どすこい”を筆頭に、歴女でエヴァとゴジラを愛する“せとやん”、田原勤め4年目でミョウガと細い道が大好きな“よったか”の3人です。

髪型を夏仕様にカットした“どすこい”は、大の写真嫌い。
「僕は写真には写りませんから」とか恐いことを口走る彼を盗撮するように受付風景を記録します。

田原がまるまる博物館_2

天気は前日朝の豪雨が嘘のように快晴そのもの。
今回の授業は、田原やま里博物館と奈良市観光振興課、そして田原公民館とのコラボ企画「田原やま里博物館☆夏休み体験フェスタ」とのタイアップです。

田原がまるまる博物館_22

田原やま里博物館とは、奈良市が「まちかど博物館」として奈良きたまちを指定したのに続き、この田原でも工房や農園などの仕事場を博物館と見立てて公開しているものです。
田原公民館で「レジェンド」と呼んでいる各博物館の館長さんが既に前日からイベントを開催し、大盛況のうちに2日目を迎えたところです。

田原がまるまる博物館_3

メイン会場の「田原ふる里ほっとステーション」と掛け持ち従事をしている私“よったか”は、会場で朝礼を終えた後、授業を行う田原公民館へ戻ります。
数少ないバスの時間に合わせて受付を終える3人。
いよいよ本日の先生、窪田りんご園の窪田弘子さんをお迎えします。

“どすこい”の開講の言葉。
挨拶嫌いの彼は表情を固めてまっすぐ1点を見つめてしゃべります。
カメラを向けるなと言われても、そうはいきません。

田原がまるまる博物館_4

窪田先生は、地区外からお嫁入りして田原にやってきたといいます。
当初は田原が嫌いで、ご近所ともできるだけ接触を避けてきた先生。
どうしてりんご園をすることになったのか。
どうして田原の魅力をこの場で語ることになったのか。
自分の言葉で語っていく先生の話に引き込まれていきます。

田原がまるまる博物館_20

前日はNHK奈良放送の「ならナビ」にライブで出演をしたところ。
本日のイベント会場の様子も気にしながら、各博物館の紹介へ話を進めていきます。

授業の詳しい様子や内容は「ひとまちレポート」をご覧ください。
「気軽に!週末プチ茶畑旅行」
http://nhmu.jp/report/29101

配付された地図とにらめっこしながら話を聴く学生たち。
初めて田原を訪れた人は?という問いかけには半分くらいの手が挙がりました。

田原がまるまる博物館_5

さあ、田原公民館での座学はここまで。
本日の目的地はあと3ヶ所。
「2時間目」は奈良市指定文化財の松本邸に向かいます。

田原がまるまる博物館_6

田原に来たことがあるという方でも、ほとんどが県道を走り抜けて東西を移動するだけということも。
田原の魅力の神髄は細い道です。
3度の飯より細い路地が好きな私が案内します。
実りの田を越え、猪の檻を横目に茶畑を過ぎた角に、松本邸が聳えます。

田原がまるまる博物館_7

先生は、ご当主・松本陽一館長。
松本先生は田原地区自治連合会長や茗荷郵便局長を兼任される、地元ではとっても有名な名士さん。

前島密の逓信省の時代に郵便事業を始めた松本家。
江戸時代からそこにある荘厳なたたずまいの中に、小さな郵便の窓口を設けたとの話。
三間くだりの座敷に上がった学生たちは、時代を語る調度品の数々に心を奪われます。

田原がまるまる博物館_21

松本家を後にした学生一行は、「3時間目」の目的地・田原ブルーベリー園に向かいます。
“どすこい”は既に電源がOFFのよう。
学生たちに混じって付いて来ます。

田原がまるまる博物館_9

ブルーベリー園でお迎えしてくれたのは中尾さんです。
お昼までの間、渡された袋に摘み取っては詰めていきます。
美味しい実は大きくて黒く、おへそがくっきりと浮き出ているものです。
酸っぱいもの、甘いもの、固いもの、熟したもの。
選別しているうちに終了の時間です。

田原がまるまる博物館_14

チャイムの代わりに“どすこい”が「ひ、ひとま・・・」と焦っていたら、“せとやん”が滑舌良く「ひとまち大学のみなさん、お時間5分前です!お急ぎください」との呼びかけ。
今度は、マナーモードに切り替わる“どすこい”・・・。

摘み取りを終えた一行は「夏休み体験フェスタ」の会場である田原ふる里ほっとステーションへ。
お腹を空かせた学生たちを迎えたのは、なんと!仲川学長!!
(驚きのあまり写真はございません・・・ここは宣材写真でご了承ください。)

田原がまるまる博物館_23

賑わっている会場と奈良ひとまち大学の授業の様子をご覧になって、にこやかなご様子。
「市内から田原へ来られる方をもっと増やすため、姉妹地域という考え方もありますね」とご挨拶。
直後には、しかまろくんも応援に駆けつけてくれました。

田原がまるまる博物館_15

本日の給食(昼食)は、地元・田原産の食材をふんだんに使った「田原やま里弁当」です。
田原のお茶で喉を潤しながら、外のテラスでいただきます。

田原がまるまる博物館_16

太陽が真上に来た頃ですが、各体験のブースは大人気。
行列ができているところもあります。
食事を終えたみなさんは、各ブースの見学へ。
職人たちが生み出す数々の技に魅了されていました。

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さあ、午後からの「4時間目」は、田原ほっとステーションの2階へ移動。
岡井麻布商店の岡井孝憲館長の登場です。
岡井先生は、江戸時代に創業した老舗麻工房の店主。
手織りで織り上げる「奈良晒」は、その風合いと涼やかな手触りが人気の伝統産業です。
今回は明治時代から伝わる8畳サイズの蚊帳の中に入っての授業です。
吹き抜ける風に揺れる蚊帳のにおい。
岡井先生は、昔から伝わる手紡ぎの糸を使った麻布の魅力を力強く語ってくださいました。

田原がまるまる博物館_18

奈良ひとまち大学をきっかけに田原地区に初めて足を運んだという半数の学生たち。
そして、何度も来ていますという方にも新たな発見を提供する。
今回の授業はそんな機会になったはずです。

田原の魅力はお茶、米、自然。
一見するとそうですが、やはり人です。
みなさんをおもてなしし、田原を楽しんでもらう、田原を好きになってもらうことが、田原の方たちの何よりの喜びです。
そんな思いがあるから、何度も足を運びたくなるんでしょう。

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1日どっぷりと肩まで田原につかった学生たち。
心が渇いたらきっとまたこの地に帰って来てほしいと思います。

オマケ:
授業終了後、蚊帳の中でゆっくりくつろぐスタッフと先生の図です。

田原がまるまる博物館_19

(よったか)