「奈良晒(ならざらし)」をご存じでしょうか?
2024.02.10 | 授業info | by Staff
「奈良晒」をご存じでしょうか?
最近は、麻で作られたおしゃれなハンカチや和小物などが奈良のアンテナショップなどに置かれていて、奈良の土産物としての知名度も上がってきています。
高級麻布・奈良晒は、手に取ると、表面は張りのある肌ざわりで、高級感のある質感、独特な風合いが感じられます。
茶道をしている方はご存じだと思いますが、「茶巾」も、この奈良晒で作られていますね。
かつて日本人にとって麻は生活の一部で、特に麻から作られる「麻布」は暮らしに欠かせないものでした。
江戸初期以来、大和の国から産出していた天日晒しの麻布・奈良晒は、「麻の最上は南都なり」と言われたほどの高級品で、奈良を中心に生産された麻布織物ブランドは、僧侶の袈裟用としての需要から始まり、武家や町民の夏衣として広がりました。
16世紀末に晒技術が改良されると、徳川幕府の保護を受け麻産業は急速に発展しましたが、明治維新での武士の消滅による需要の激減や、第二次大戦後のGHQによる大麻規制により、衰退していきました。
今では、少数の団体(家)が伝承のために守っているのが現状です。
3月16日(土)の授業「高級麻布、奈良晒ができるまで ~苧績(おう)みと機織りを実演~」の先生・荻田眞弓さんは、「奈良の伝統文化・奈良晒の歴史を、奈良晒ができるまでの工程を学ぶことで後世に伝え、残していきたい」との思いを胸に抱いています。
荻田さんは帝塚山大学短期大学の文芸学科を卒業。
当時、文芸学科には日本文化史に関する専門科目や「奈良学研究」と題したユニークな科目、なかでも陶芸・織物・染色といった芸術系要素を交えた科目があり、荻田さんはここで織物について学ぶなかで奈良晒と出会い、奈良晒を「大和機(やまとばた)」で織り上げる技法を習得しました。
卒業後は大学で助手として奈良晒・大和機の研究を続けており、現在は母校・帝塚山大学で社会人対象の「織物講座」の講師として織物技術の指導をしています。
さらに、中川政七商店奈良本店の布蔵で、「織り体験」ワークショップの指導もしているそうです。
また、奈良晒の紡績技術の伝承を目的として発足した「月ヶ瀬奈良晒保存会」の会員として、奈良晒の伝統を途切れさせないよう、技の伝承に貢献しています。
今回の授業は、帝塚山大学東生駒キャンパスが教室です。
奈良晒のこと、また奈良晒ができるまでの工程をじっくりお話ししていただきます。
ちなみに、奈良晒には次の3つの工程があります。
1 苧績み(麻糸づくり)
2 織布(大和機で機織り)
3 晒し
授業では、このうち1と2の繊細な作業を、荻田さんが実演してくださいます。
また、帝塚山大学には、大和機以外にも日本各地の機織機(はたおりき)が30機以上所蔵されており、それもご紹介いただく予定です。
楽しみですね。
さらに当日は、帝塚山大学の織物講座を受講した方々の修了展が開催されており、奈良晒の他にも、様々な技法で織られた作品を見ていただくことができます。
帝塚山大学「織物講座修了展」
日時:2024年3月15日(金)から 3月19日(火)
会場:帝塚山大学 東生駒キャンパス 2号館 1階 2101教室
ぜひ、この機会にご覧ください♪
https://www.tezukayama-u.ac.jp/news/2024/315-319/
そしてもうひとつ、荻田さんにお話ししてもらいたいことがあるんです。
それは、荻田さん自身のこと。
荻田さんが持っている物は手作りの物が多く、その一つひとつがとても素敵なのです。
物を大事にして、日々丁寧に生活していることがよくわかります。
「伝統文化を継承する」と「物を大事にする」とは、繋がっているように感じます。
手仕事が好きで、着物や裁縫、染め物などにも興味があるとのこと。
このあたりのことも聞いてみたいと思っています。
荻田さんに「職業は?」と伺うと、「機織りです」と答えられます。
機織りという仕事について、また奈良晒を伝承する数少ない後継者の1人としての気持ちも伺いたいと思っています。
みなさん、ぜひお申込くださいね。
申込はコチラ↓
https://nhmu.jp/class/40520
(さとちん)