奈良ひとまち大学

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ひとまちブログ

南都銀行本店に潜入

2020.12.04 | 授業 | by Staff

12月4日(金)の授業「開校10周年記念!リクエスト大会Vol.14 なんと、素敵な、南都銀行! ~レトロ建築の設計者を知っていますか?~」に従事しました~。
初めての従事だったので多少不安もありましたが、なんとか無事に授業を終えることができましたー!

この南都銀行本店の授業は今回でナント3回目!
毎回100人前後の申込がある人気の授業だそうです。
この高倍率のなか当選された20人の方おめでとうございます!

南都銀行本店に潜入_5

そうこうしてるうちに、さっそく授業が始まりました。
授業の様子は、「ひとまちレポート」もご覧ください♪
「建物に歴史あり、奈良の近代建築探訪」
http://nhmu.jp/report/35048
「名建築・名講師」
http://nhmu.jp/report/35122

この授業の先生、南都銀行地域事業創造部シニアスタッフの鉄田憲男さんから30分ほど講義があった後、行員さん以外入ることのできないバックヤードをまず案内していただきました。
みなさんで移動・・・。
いきなり驚いたのが階段の手すり。
なんと1枚木でできているということです。
手摺のカーブしている部分の滑らかさ、手を置いた時の、何というかしっくりくる感触は絶妙なものでした。
レトロ感満載やん!
どうやって作ったんやろ??
鰹節削るみたいな感じで削っていったのかな?
いくつかの疑問が浮上してきました。

南都銀行本店に潜入_1

一緒に回っている方のなかにスーツを着た男性がいらしたので銀行の方だと思い質問をしたところ「すみません・・・私、授業に参加している者です(笑顔)」。
えっ?!
・・・大変失礼いたしました。
優しい方で良かった・・・。

その後は、外に出て建物外観の案内へ・・・。
南都銀行本店は国の登録有形文化財に指定されているそうです。
正面にある4本のイオニア式の柱。
その柱に羊が居ました!

南都銀行本店に潜入_3

このブログをご覧のみなさん、柱に羊が居てるってご存じでしたか?
あっ!羊といっても、円柱に彫刻されている羊のことです・・・。
この彫刻、実は奈良一刀彫の森川杜園のお弟子さん・水谷鉄矢が彫ったもの。
この柱の下部に、2頭の羊の角に布を巻いた植物を掛けた装飾が加えられています。
「羊と花綵(はなづな)」の装飾彫刻。
なんで羊なんやろ?羊年に作られたからなのかな?と思いきや、羊は子どもをたくさん産むことから財産の象徴とされ、銀行と羊の存在を重ね合わせたことから羊の装飾が設けられたということでした。
そして、花綵は永遠を表しています。

そしていよいよ、屋上に上がり、奈良の町を見下ろす360度パノラマを見ることができました。
個人的に、かなり楽しみにしていたのです((´∀`))
この日、日中は天気も良く上着がいらないほどの暖かさ?
良かった~((´∀`))
興福寺の五重塔、南円堂・・・夕方だったので建物に夕日が当たりとても神秘的な光景でした。
その向こうには、若草山も見えました。
この場所からは1年を通して移り変わる「5色の山」を見ることができると鉄田さんが説明してくださいました。
新緑、黄金色、山焼きの炎の赤、黒い焼跡、そして雪を被ったときの白。
若草山は山焼きがあるから赤と黒が入ってくるんですねー。

南都銀行本店に潜入_2

あと、初めて見たのですが屋上に、なんと社が!
商売繁盛の稲荷神社とのことでした。
まさか屋上に神社があるなんて思ってもなかったのでビックリです!

1時間程のあっという間の授業でしたが、とても充実した、私にとっては初めてのことだらけの1時間でした~。
そして、屋上から見た夕暮れ時の奈良市内の景色、忘れません!

南都銀行本店に潜入_6

このコロナ禍のなか、先生の鉄田憲男さんをはじめ南都銀行の方々にも新型コロナウイルス感染拡大防止に協力いただき、授業を開催することができました。
授業に参加された20人の方も、ご協力いただきありがとうございました。

南都銀行本店に潜入_4

(みなづき)

日常と非日常の狭間に誘われて・・・LAMP BAR

2020.11.29 | 授業 | by Staff

旅に出ると必ず独りでBarに赴き夜を楽しんでいる“肉球ぷに×2”です。
Barの楽しみは、バーテンさんや現地の常連さんとの会話。
その地域ならではの方言やイントネーションの言葉が飛び交い、その地域のお得情報、季節のこと、美味しいお酒・カクテルのことなどを聞くと・・・「あ~旅にきたんだな~」と実感するのです。
今回の授業「開校10周年記念!リクエスト大会Vol.13 進化を続ける奈良最高級のバー ~LAMP BARの過去、現在、未来~」の開催を聞きつけて「従事した~い」と手を挙げました。

気になる授業の様子は「ひとまちレポート」をご覧ください♪
「世界に誇る奈良のバー“LAMP BAR”」
http://nhmu.jp/report/35013

晴れた空に少し重たそうな冬の雲を眺め、小西通りからビルの合間を入って行くと、お目当てのLAMP BARの看板が見えてきます。

日常と非日常の狭間に誘われて_9

まず看板からしてカッコイイ?
看板からしてお店の良さが分かります。
先生の金子さんにご挨拶させていただき、受付の準備。
カッコイイ看板の横に、奈良ひとまち大学ののぼり旗を配置すると、のぼりは北風を受けて揺れておりました。

日常と非日常の狭間に誘われて_2

“肉球ぷに×2”がBarに行く醍醐味は、日常と非日常を味わうことです。
このLAMP BARは非日常の演出が素晴らしい!!
お酒を飲むための空間が計算しつくされて作られています。
入口からセンスがキラリ☆
「今から非日常に入って行くんだな~」と気持ちを作ることができる距離の廊下。
扉を開けると、なかなか怖い鏡・・・鉈(なた)を持った白人のおばさんが鏡に透けて見えます。
このおばさんは、キャリー・ネイションというアメリカの禁酒主義活動家の女性。
わたくし、金子さんのこのセンスが好きです。

日常と非日常の狭間に誘われて_3

左を向くとカウンターとボックス席が。
照明の青色がアクセントになっています。
ウイスキー・リキュール・グラスが並んでいる棚も一見の価値あり。

日常と非日常の狭間に誘われて_4

この授業では、学生のみなさんがカクテルを作って飲みながら授業を受けるということで、テーブルにはシェイカー・メジャーカップ・バースプーンなどが並んでいました。
色々なサイズや素材があり、道具を見るだけでもウキウキしてしまいます。
光が反射してキラキラ光っていました。
Barに行って自分でカクテルを作るということはないので、貴重な体験になったのではないでしょうか?
学生のみなさんは、先生からコツを教えていただきながら、ジンフィズ(ジン・レモン汁・シロップ・炭酸水で作るカクテル)などを、それぞの好みでシロップの量などを調整して作っていました。
カクテル好きの“肉球ぷに×2”としては本当に本当にうらやましい限りでした。

日常と非日常の狭間に誘われて_8

金子先生がジンフィズをデモンストレーションで作ると・・・一つひとつの手の動きに切れがあり、所作が美しい!
男性のきれいな手の動きは、ドキドキいたします。
シェイクの手さばき、ぜひLAMP BARに行って見ていただきたい。

日常と非日常の狭間に誘われて_6

そしてLAMP BARには隠し部屋があるんです!!
それぞれのテーマがあって、違う空間でお酒を飲むことができるのですが、それもご自身の目で見ていただければ幸いです。
この1年、コロナ禍においてなかなかお酒を飲んだりできない雰囲気ではあります。
わたくしが行ったBarでマスターが「お酒が飲めるのは平和なんやで~」と言っていましたが、その言葉をしみじみとかみしめています。
楽しく非日常を味わえる日を待ちつつ・・・。

(肉球ぷに×2)

被写体の魅力を引き出すために

2020.10.31 | 授業 | by Staff

2020年10月31日に開催した授業「仏像を撮る、ということ。 ~文化財撮影の難しさと醍醐味~」に従事しました。
先生は写真家の佐々木香輔さん。

被写体の魅力を引き出すために

文化財写真撮影で有名な「飛鳥園」、奈良国立博物館の写真技師を経て今春、独立し、フリーで活動しています。
写真家の方の授業は今までも何度かありましたが、今回の先生は文化財撮影専門なので、どんな話が聞けるか楽しみにしていました。

私は写真撮影担当だったので、数打ちゃあたる!?とバンバン撮りました。
が、しかしっ。
映像を交えながらのお話、しかもフェイスシールドを着けていただいたので、「暗い」「反射する」「ピントが合わない」と、いつも以上に苦労しました。
興味深い話の連続で、幾度となく、カメラを持つ手をペンに持ち替えてメモを取りながらの90分となりました。

被写体の魅力を引き出すために

さて、仏像写真には「物としてとらえる写真」と「心としてとらえる写真」のふたつの側面が求められるとのこと。
物としてとらえる写真は、専門家や研究者に好まれるそう。
心としてとらえる写真とは、佐々木さん曰く、「ドラマチックに撮る写真」。
例えば、上から撮るか下から撮るかによって、光の差すところや影の濃くなるところが変化します。
撮影角度や光の当て方によって表情が変わる様子を、映像を交えて紹介していただきました。
まだ世に出ていない写真もあるため撮影不可だったのですが、ほんと、一見では同じ仏像だと気づかない!!
慈愛に満ちたやわらかい表情だと思っていた仏像が、ライティングの違いで怒った険しい表情に見えて、びっくりしました。

撮影などで仏像と長時間に渡り対面する機会も多い佐々木さんですが、しばしば、仏さまに見られている感覚に陥ることがあるそう。
自分が仏像を撮る人として、技術的なことはもちろん、人間としてふさわしいのか、自問自答することも。

そんな佐々木さんが理想とする仏像写真は、観る人の気持ちに寄り添う写真。
自分の個性を押し出すのではなく、やわらかい共感を得る写真をめざしているのだそうです。

被写体の魅力を引き出すために

また、被写体の魅力を引き出すための「フィクション」についての話もありました。
ここでいう「フィクション」とは、肉眼で見るよりも綺麗に、そして肉眼では見えないものまでを見せるためにかける、魔法のようなもの。
どんな手法で撮影したか、手の内を明かせるホワイトマジックを駆使した写真を見せていただきました。

2019年に奈良国立博物館の特別展「国宝の殿堂 藤田美術館展」に出展された曜変天目茶碗の写真。
曜変天目の輝きを見せるために光を当てると必ずどこかに影ができ、1枚ではその美しさの全てを見せることができないそう。
そこで、複数の写真データを合わせたそうで、その過程の一部を見せてもらいました。

被写体の魅力を引き出すために

これは香芝市の屯鶴峯(どんづるぼう)にある地下壕の写真。
ずいぶん前に二上山に登山した際、屯鶴峯で地下壕の入口を示す看板を目にしましたが、あの奥にこんな世界が広がっていたなんて!!と驚きました。
もちろん、肉眼でこの光景が見られるわけではありませんよ。
許可を得た上で、何ヶ月も通って、さまざまな場所からライティングしながら撮影した結晶だそう。

被写体の魅力を引き出すために

旧日本軍の地下壕だった場所。自由に入ることができない領域。
この写真は、地下壕の全体像がわかるだけではなく、なんとも言えない不思議な気持ちにさせられます。
数え切れないほど撮影するうちに、被写体そのものだけでなく、その土地の持つ意味みたいなものも捉えることができる写真って、ほんとにすごいなと思いました。

被写体の魅力を引き出すために

現在、美術品・文化財撮影専門「青々」設立のための準備を進めている佐々木さん。
将来的には、個人として何かをしたいというよりは、「青々」という組織が全面に出てくるような活動をしていきたいそう。
それは、飛鳥園や奈良国立博物館での経験により自分に与えられた大切なものを、「青々」として伝えていくことに意義を感じるから。
長い年月、それぞれの時代を経て大切に守られてきた仏像や美術品などの文化財を、写真を通して正確に記録し、そして人々の心に記憶されることで、後世へとつなげていく。
とても大切な役割だと思いました。

被写体の魅力を引き出すために

おまけ
当日、持参された写真機。

被写体の魅力を引き出すために

恩師の形見分けで譲り受けたものだそうです。
ガラス乾板を用いて撮影するとのことで、学生のみなさんも興味津々で見ていましたよ。
佐々木さん、貴重なお話をどうもありがとうございました。

被写体の魅力を引き出すために

(なさ)